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不落戦艦「キイ」〜宇宙戦艦ヤマト2202・鋼鉄戦記〜
序章 月の海にて
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 極東管区では金剛型宇宙戦艦の名称で建造・配備されているワイオミング級宇宙戦艦の両舷に長方形のコンテナを取り付けた様な外見をしたこの艦は、ラングレー級宇宙母艦の2番艦「レキシントン」であり、国際連合宇宙海軍の内惑星軌道防衛艦隊に所属する空母として月の警戒に当たっていた。

 「レキシントン」の両舷に増設されている格納庫兼滑走路ユニットには計16機のCF-4/97式空間戦闘攻撃機〈コスモホーク〉やCA-3/97式空間艦上攻撃機〈コスモデバステイター〉が、中央胴体内には4機の予備機と2機のSR-100/100式空間偵察機〈コスモウォッチャー〉が搭載されており、常時艦載機をユニットから直接展開させて周囲の警戒に当たっていた。

 そして北米管区方面軍第5空母航宙団所属のパイロットであるジョン・トーマス少尉は、愛機の〈コスモデバステイター〉に乗って発艦し、険しそうな表情を浮かべながらキャノピーの外に目を向ける。

「見ろ、ジャック。地球だ。昔、大いなる先輩であるユーリ・ガガーリンは『地球は青かった』と言っていた。それが今やこの様だ。合衆国(ステイツ)に至ってはニューヨークもベガスも、そしてロスも過去の遺跡となっている」

「少尉…」

 かつての青さを失い、すっかり赤茶けた故郷を見て、後部座席に座るアンドリュー・ジャック曹長は複雑そうな表情を浮かべる。

 アメリカ合衆国は8年前までは国際連合の常任理事国を務める5大国の中でも最強であり、宇宙艦隊もこの「レキシントン」を含め、最多の700隻を誇っていた。かつての内惑星戦争でも愚かにも反旗を翻した火星軍をその物量で捻じ伏せ、外宇宙からやってきた謎の勢力をも容易に撃退出来るだろうと多くの将兵は考えていたに違いない。

 しかし冥王星軌道の戦いや第一次火星軌道会戦にて、ガミラス軍は艦艇そのものの性能や技術力の違いを有効的に活用。アメリカのみならずイギリス。フランス・ロシア・中国の大艦隊も悉くが陽電子ビームと高性能ミサイルの餌食となり、宇宙空間のデブリの一部と化していったのである。

 本国自体もガミラスの遊星爆弾によるロングレンジ攻撃を受け、ワシントンDCやニューヨーク、ロサンゼルスをはじめとした大都市が消滅。人口が多かったが故に地下都市への収容が間に合わず、10億人以上の死者を出しながら政府そのものが崩壊した中国やインド、軍事力は優れていても経済力が低かったために地下都市に十分な設計を施せず、飢えと毒素汚染で滅んでいったロシアと異なり、地の国力に余裕があったアメリカは1億人以上を生き延びさせられたものの、もはやガミラス軍に対して大規模反攻作戦を行える程の余裕はなかった。

 その中でカ2号作戦前までアメリカの予備戦力扱いされていた極東管区の一国家であった日本国は、最初の着弾以外遊星
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