うまい! うまい! うまい!
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汗を流す。
彼の横でどんどん積みあがっていく皿を見ると、果たしてこの支払いは誰がするのだろうかと否が応でも心配してしまう。
「アンタは、何か願いでもあるのか?」
「うむ! 誰でも願いはあるな! 君にはあるのか!? 青年!?」
「俺はないけど。それより、この質問は結構大事なんだよ!」
ハルトの声が大きくなっていく。
だが、セイバーは構うことなく、箸を進める。
また一口ずつ口に入れるたびに発せられる「うまい!」という感想に、ハルトは口をきっと結ぶ。
「それで? 願いはあるの? ないの?」
だが、一切瞬きをしないセイバーは、じっとハルトを見つめる。
「それは先に、君が言うべきではないのか!?」
「……」
セイバーの一言に、ハルトは押し黙った。
セイバーは続ける。
「うむ! 君はどうやら、私がこの聖杯戦争に参加するかどういかを危惧しているようだ!」
「ずいぶんと直球で言うんだね」
ハルトが言い放つ。
だが、セイバーは構わず続ける。
「安心したまえ! 君が私の敵にならない限り、私もまた君の敵にはならん!」
「……そりゃそうでしょうね」
ハルトは投げやりに答えた。
「俺が一番危惧しているのは、アンタが……」
「うまい!」
「話聞いてよ!」
だが、止まらずに食を進めるセイバーに、ハルトは項垂れた。
「それより、君もどうだ!? これ、中々うまいぞ!」
「そりゃあ俺が作ったものだからな! それより……」
「君も食べるか!?」
「だからこっちの話を聞けって……むぐっ!」
さらに、もう一度話に戻ろうとするハルトへ、セイバーは卵焼きを押しこんだ。思わずごっくんと飲み込んだハルトは咳き込む。
「い、いきなり何するんだ!」
「気が立っているとのは良くないぞ!」
「誰のせいでこうなってるとお思いですか!?」
ハルトが机を強く叩いた。
すると、セイバーは「はっはっは!」と笑い、
「うむ! やはり食事はいい! さあ、君も!」
「俺はいいってか俺今お仕事中!」
ハルトはツッコミを入れながら、ぐったりと肩の力を抜く。
「……ねえ。ハルトさん。別に今問いたださなくてもいいんじゃない?」
見かねた可奈美が、ハルトの肩を叩いた。
「まずは美炎ちゃんにも、聖杯戦争の説明はしなくちゃいけないし。そもそも、このサーヴァントのマスターは美炎ちゃんなんだから」
「……そうだね」
ハルトは頷いて、席を立つ。
相変わらず瞬きさえしないセイバーは、じっとハルトを見て。
「悩んでいるな! 青年!」
「アンタのせいだよ!」
ホールをココアとチノに交代し、ハルトと可奈美は、来客たちをハルトの部
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