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レーヴァティン
第二百二十二話 採られない戦術その八

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「私も」
「ここでどうしてもだな」
「民を逃がしたうえで」
「巻き込まない様にだな」
「民を巻き込むなぞ」
 王は強い声で述べた。
「王のすることではありません」
「そうだな、だからゲリラ戦術を採ってもだな」
「決してです」
 それこそというのだ。
「何があろうともです」
「しようとしなかったな」
「そう考えていて家臣や兵達にもです」
 彼等にもというのだ。
「それはです」
「させなかったな」
「左様でした、そして」
「このエディンバラでか」
「籠城したうえでの決戦を挑み」
 そうしてというのだ。
「敗れてでもです」
「意地を見せるつもりだったか」
「今も同じです」
 その考えはというのだ。
「ですから」
「俺とはか」
「干戈を交えたいと考えていますが」
「そうか、しかし俺は考えてないぜ」
 笑ってだ、久志は王に返した。
「あんたを王にしたいんだよ」
「そうなのですか」
「ああ、この国のな」
「スコットランドの」
「この国の王様の座はそのままだ、ただしな」
 久志はさらに言った。
「イングランド、ウエールズ、アイルランドはな」
「それぞれ王を立てられたと聞いています」
「帝国も認めた」
 既にそうしたというのだ。
「それでな」
「私もですか」
「スコットランド王としてな」
 この立場でというのだ。
「帝国に入ってもらいたいんだよ、勿論貴族の地位もそのままで」
「そしてですか」
「それで文化や信仰もな」
 こうしたものもというのだ。
「認めるな、あと帝国の技術もな」
「そういったものもですか」
「入れてもらうな、そして豊かにしてもらいたいんだ」
「スコットランドを」
「民もな」
 こう王に話した。
「そうしてくれるか」
「では統治の仕組みは」
「帝国には入るさ」
 このことは事実だというのだ。
「けれど自治はな」
「認めてくれるのですか」
「ああ、王はそっちの太子をな」
「太子として認めて頂いて」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「即位を願ったらな」
「認めて下さいますか」
「そうするな、王位も爵位もな」
 王侯のそれはというのだ。
「帝国にあるなら同じだ」
「陛下が認められますか」
「帝国の中にあるからな」
 それ故にというのだ。
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