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石切り場の女
第三章

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 茂吉達は今度は女をじっと見ることにした、そして按摩を終えてだった。
 何処に行くのかを見ることにした、彼はここで仲間達に言った。
「毎日こっちに来るならな」
「近くに家があるな」
「だから毎日ここに来られるな」
「そうだな」
「何処に住んでいるかだ」
 それが問題だというのだ。
「それでわかる」
「ああ、何かが化けていたらな」
「穴とか木の上とかに住んでるな」
「それならだな」
「化けものだ」
 それだとだ、茂吉は言った。
「それだ」
「そうだよな」
「狐じゃなくてもな」
「狸か貉かも知れないしな」
「他の獣が化けていてもおかしくない」
「世の中何でも化けるぞ」
 こうしたことを言う者もいた。
「だからな」
「何でもあるな」
「そうだな」
「狐じゃないにしても」
「人ならいいが」
「そうでないなら何だ」
「それを見極めるぞ」
 茂吉は仲間達に言って彼等と共に女の後をつけていった、やがて女は石切り場の離れに行った、もうそこは誰もまず行かない場所だった。
 そこに行くとだ、女は。
 白い大きな石の前に進みその中にすうっと入った、そうして。
 その中に消えた、それを見て茂吉達は話した。
「あの女まさか」
「石の精か」
「そうだったのか」
「何かと思ったら」
「石の精だったか」
「これは思わなかった」
 茂吉はここまで見て言った。
「本当にな」
「わしもだ」
「わしもこれは思わなかった」
「何でも化けるものだが」
「石も化けるのか」
「そうなのか」
 石工達はまさかと思った、それである日この場に来て石工達の話を聞いたり何かあった時に経を唱えてくれる僧にこの話をすると。
 僧は彼等にそれはという顔になって答えた。
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