第一章
[2]次話
神々は何処に
神はいる、いない、死んだ、色々言われている。
それで若き日の八条義統は深く考える顔で大学の教授に対して問うた。
「教授、僕は思うのですが」
「何かあったのですか?」
教授の海原護は八条に応えた、四十代ですらりとした長身で面長のスーツが似合う男だ。たた切れ長の細い目で眉も細く口元は微笑んでいる感じだ。黒髪をショートにしている。
「一体」
「はい、実は神についてです」
宗教学部の教授の海原に問うた。
「その存在をです」
「わかりました、果たして存在するのか」
海原は八条の聞きたいことを察して答えた。
「そのことをですね」
「今実際に存在するのか」
「疑っていますね」
「はい、存在するのか」
「それは誰もが一度は考えることですね」
海原の返事はわかっているという感じであった。
「事実私もです」
「教授もですか」
「その存在を疑ったことがあります」
「そうなのですか」
「そしてそれを経て」
そしてというのだ。
「今はです」
「存在を信じておられますか」
「確信しています」
そうだというのだ。
「今では」
「そうなのですか」
「神は存在します」
この世にというのだ。
「間違いなく」
「そうですか」
「それは貴方もです」
「今は疑っていても」
「信じます、無神論者には一つの特徴があります」
神々の存在を否定する人物についてだ、海原は八条に話した。
「最初からです」
「信じていませんか」
「はい、信仰心もです」
こちらもというのだ。
「最初からです」
「なくてですか」
「神々の存在もです」
「最初からですね」
「全く信じておらず」
「否定していますか」
「頭から。最初から見ようとしていません」
神、それをというのだ。
「これが仏でも精霊でも同じです」
「まさに最初からですね」
「全く信じていないのです」
「そうですか」
「これは面白いことに大抵の無神論者に当てはまります」
「最初からですね」
「神の存在を見ようとしておらず」
そしてというのだ。
「信仰心もです」
「ないんですね」
「そうです、ですが疑う人は」
「違いますから」
「貴方の様に。存在を疑って調べて考えてです」
そうしてというのだ。
「無神論に至る場合もありますが」
「大抵はですね」
「最初から全否定して誰の話も聞きません」
「もう頭からですね
「否定するだけなのです」
無神論者、彼等はというのだ。
「頭から」
「しかし疑う人は違いますか」
「これはいいことです」
海原は八条に笑ってこうも言った。
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