第三章
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トップでゴールした、これはクラスの女子達も言った。
「島津さんって水泳得意だったの?」
「まさかと」
「そんなこと聞いてないけれど」
「運動はあまり得意じゃないし」
「それ見たらどう見てもなのに」
「嘘でしょ」
「こんなに速いなんて」
口々に驚きの声をあげてだった。
それで競技を終えて身体を拭いている未可子に問うた。
「あの、ひょっとして」
「島津さん水泳してたの?」
「若しかして」
「はい、習いごとの中で水泳もしていまして」
それでとだ、未可子は答えた。
「他には合気道も。溺れない様にそして護身に」
「そうだったの」
「それでだったのね」
「島津さんあんなに速いの」
「そうだったのね」
「けれど」
それならとだ、クラスメイト達は思ってそのまま言った。
「お嬢様と思ったら」
「それで運動はって思ったら」
「それが違うのね」
「速いのね」
「だったらね」
「今度からは」
水泳大会で重要な競技に出てもらおうと思った、そしてだった。
水泳部から未可子にスカウトが来た、未可子はその誘いに笑顔で答えた。
「では習いごとの合間に」
「お願いするわね」
「島津さんなら出来るから」
水泳部の方もこう応えた、そしてだった。
未可子は以後は運動については水泳ではかなり高い評価を得る様になった、もう誰も彼女をただの穏やかで成績優秀なお嬢様とは思わなくなっていた。水泳そして他のことも身に着けている娘だと認識したのだった。
そして他に教わっている合気道でも。
「二段らしいから」
「かなり強いわよ」
「本当にただのお嬢様じゃないわね」
「しっかりしてるところはしっかりしているわね」
「教わっていますので」
未可子本人はこう言う、彼女自身は同じであった。穏やかで優しい女の子だった。
深層の令嬢でも 完
2021・4・13
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