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夏でも危ない
第二章

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 夫は起きてリビングに来た妻にそのリビングから言ってきた。
「頭痛い・・・・・・」
「二日酔い?」
「ちょっと違う感じだよ、咳も鼻水も出るし喉も痛いよ」
「風邪?体温測る?」
「そうするよ」 
 こう言って実際に体温を測ると三十八・五度だった。それで明らかだった。
「風邪ね」
「そうだね」
 夫は体温計を見る妻に応えた。
「道理で」
「今日お休みよね」
「うん、じゃあ今日は」
「風邪薬出すから」
 それでというのだ。
「ゆっくり寝て。おじやも作るから」
「それで汗かいて」
「風邪治しましょう、けれどね」
 妻は夫に風邪薬を渡しつつ話した。
「こうなったのはね」
「ここで寝たからかな」
「床の上に何もかけずに下着姿でね」
「夏で暑かったからね」
 そうしたとだ、夫は咳こみながら言った。
「それでだったけれど」
「酔っていたから余計にでしょ」
「そうしたら風邪になったね」
「やっぱりね、夏でもよ」
 暑い季節でもというのだ。
「それでお酒を飲んでいたら」
「余計にだね」
「ええ、寝る時は温かくして」
 そうしてというのだ。
「寝ないとね」
「風邪をひくね」
「お酒飲んでたら変に身体熱くなって体温調整がおかしくなるから」
 その為にというのだ。
「そういう時こそね」
「温かくすることだね」
「そうよ。それじゃあね」
「うん、寝るよ」
「今日は一日そうしてね」
「折角の休日だけれどね」
 そうするとだ、夫は妻の言葉に頷いてだった。
 風邪薬を飲んで寝巻きのジャージを着てからベッドに入った、そうして妻が作った多くの野菜や卵、鶏肉が入った雑炊を食べて温かくした。夏だが風邪を治す為に暑いことも汗も我慢した。そしてその翌日。
 朝に体温を測ると平熱になっていてすっかり元気になって会社に行くことが出来た、だが夫は妻に帰ってから言った。
「もうこれからは夏でもね」
「温かくして寝るわね」
「そうするよ、寝ている時が一番風邪をひきやすいし」
「飲んだ時はね」
「一番問題だから」
「そうするのね」
「何があってもね」 
 妻に約束した、そして実際に彼は夜は常に温かくして寝る様になった。そうしてそこから風邪をひくことはなくなったのだった。


夏でも危ない   完


                 2021・9・29
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