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渦巻く滄海 紅き空 【下】
五十二 潜入
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身だと気づいた水月は半ば呆れたように眼を瞬かせた。

「…よくそんな真似ができたね」



再不斬は木ノ葉隠れの里に連行され、厳重に拘束されていた。
拷問・尋問部隊隊長である森乃イビキを挑発し、水筒を投げ捨てさせることで水月は自由の身となれたが、再不斬本人は自由など許されなかったはずだ。
それもチャクラを使えないよう、牢に閉じ込められ、拘束具で動きを封じられ、印を結べないように拘束されていた身で、よくもまぁ水分身なんて作れたものだ。


水月のもっともな意見に、再不斬は片眉をついと上げる。
イビキと入れ違いに己の監視役を望んで現れた、自身と同じ野心の匂いを放つ男が脳裏に過ぎった。





月光ハヤテに一瞬、拘束を解かれ、その隙に印を結ぶことでつくられた水分身の再不斬は、本体と同じ強面でふんと鼻を鳴らす。


「顔見知りがいたんでな」


ナルトのだがな、と心の中の呟きは口にはせず、若干面白くなさそうに再不斬の水分身は肩を竦めた。
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