第二部
第二章 〜対連合軍〜
百二 〜苦悩と愛〜
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
辛そうだと? 私がか?」
「そうですわ。何もかも、お一人で背負う事はありませんわ」
そう言いながら、紫苑はまた杯を干した。
「……戯れは止せ。私が、その程度の男と思ってか?」
「いえ、思いませんわ。でも、歳三様も人の子。喜怒哀楽があって当然だと思います」
そして、紫苑は手を伸ばしてきた。
そのまま、両手で私の顔を挟むようにする。
「紫苑。何の真似だ?」
「……歳三様。親というもの、そう簡単なものではありません」
「何を言って……む?」
紫苑の顔が近づき、私の唇を塞いだ。
酒の香りを多分に含んだ、熱い吐息と共に。
「……ふう」
「紫苑。これは何だ?」
「ご無礼はお詫びします。ですが、見ていられなかったのです……今の歳三様を」
「…………」
「憂さ晴らしをしろ、とは申しません。ですが、私で出来る事は……して差し上げたいのです」
紫苑は席を立ち、私の前に立つ。
そして、私の後頭部に手を回し……豊かな胸に埋めさせた。
「紫苑。同情ならば無用だぞ」
「……違います。私も母であると同時に、一人の女です。歳三様をお慕いしてもいい筈ですわ」
「……そうか」
紫苑までもが、私をそのように見てくれていたとはな。
些か、人を見る眼が曇っているのやも知れぬ。
「お前の気持ちはわかった。また改めて……ぐっ」
再び、唇を奪われた。
今度は、先ほどとは比較にならぬ激しいものだ。
「ん……んむっ……」
紫苑の腕が、私の首筋に巻き付く。
舌で歯がこじ開けられ、唾液と共に押し入ってきた。
……もはや、一時の戯れでは済まぬな。
息苦しさを覚え始めた頃、漸く紫苑が離れた。
つつ、と二人の間に糸が張られる。
「歳三様……。素敵ですわ」
何とも、艶っぽい限りだ。
「本当に良いのだな?」
「ええ。歳三様に、全てを捧げます」
そして、紫苑は服に手をかけた。
とても一児の母とは思えぬ程の、きめの細かい肌。
服を纏っているよりも一層大きく、豊かに揺れる胸。
やや恥じらうその姿といい、まるで年齢を感じさせぬものだった。
「歳三様。……あまり見ないで下さいませ」
「無理を申すな。これだけの肢体、見ねば男が廃るというものだ」
些か、酔いが回っているようだ。
だが、偽りを申しているつもりもない。
「で、では灯りを」
「ならぬ。そのまま、横になるが良い」
「歳三様。何だか、意地悪ですわ」
「ふっ、そう仕向けたのは紫苑、お前ではないか」
そして、私も帯を解いていく。
「歳三様。まだ、起きておられますか?」
「……うむ」
事が済み、そのまま紫苑の臥所で横になっていた。
些か事を急いたやも知れぬが……悔いはない。
少なくとも、満ち足りた様子の紫苑を前にして、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ