第二部
第二章 〜対連合軍〜
百二 〜苦悩と愛〜
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間違いなかろう。
「白蓮。連合軍の方でも、誰も把握しておらぬ……そうだな?」
「ああ。全て孫策に任せる、って条件だったからな。私も独自で探りを入れてみたけど、少なくとも残っている兵らには知らされていないみたいだ」
祭や明命らが知らぬ筈はないが、軽々しく他に漏らすような真似はすまい。
「この洛陽へは、猫の子一匹入れぬようしていますからな。無論、出る事も容易ではありますまい」
「私の方でも、特に不審な集団の出入りがあったという報告はありませんわ」
「潜入して何らかの行動に出る事は無理に決まっている。この宮中も私が警護しているのだからな」
皆が断言する。
私も、雪蓮らの狙いがこの洛陽とは思えぬ。
これだけ警戒を厳にしている事は、勘の鋭い雪蓮なら察しているであろう。
裏をかこうにも、風を出し抜くのは如何に周瑜と言えども容易ではない筈だ。
「ともあれ、まだ戦が終わった訳ではない。皆、気を緩めるな」
「はっ!」
打つべき手は全て打ったのだ。
後は、皆を信じるのみ。
「お父様」
各々が持ち場へと戻っていく中、月が躊躇いがちに声をかけてきた。
「如何致した?」
「はい。虎牢関にはお戻りになるのですか?」
「いや、もはや私の出る幕はあるまい。この洛陽より指揮を執る事とする」
当初は戻るつもりであったが、発つ際に禀に釘を刺されていた。
私が常に兵の先頭に立つ姿勢は良いが、時には任せる事も必要……と。
禀のみならず、彩(張コウ)や星らも口を揃えた。
言われてみればその通りで、反論の余地もない。
……私なりにそうしてきたつもりであったが、知らず知らずのうちに昔の己に戻ってしまっていたようだ。
それのみならず、やはり気を遣わせてしまったようだ。
まだまだ、私も修行が足りぬな。
「そうですか。……良かった」
月は胸を撫で下ろした。
「そんなに心配であったか」
「はい。お父様が強い御方という事はわかっています、でもあまり無茶はなさらないで下さい」
「……善処しよう」
「もう、仕方ないですね」
そう言いながら、月は嬉しそうに微笑んだ。
ふっ、これでは主君としても父親としても失格だな。
今一度、己を省みる良い機会やも知れぬ。
その夜。
月と共に、私室で過ごしていた。
「お父様。交州とはどのような地なのですか?」
少しでも時の空白を埋めようとするかのように、あれこれと月は話をせがんできた。
この歳で、あれだけの重荷を背負わされているのだ。
決して口にはせぬが、苦労も絶えぬ事であろう。
本来であれば、義理とは申せ父である私が負うべき事を、この娘に背負わせてしまっている。
何も父らしい事をしてやれぬ己の不甲斐なさは、自覚しているつもりだ。
この戦が終われ
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