第二部
第二章 〜対連合軍〜
百二 〜苦悩と愛〜
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その場に、白蓮が加わった。
「これは、公孫賛殿ではありませぬか」
「……いや、真名預けたんだからそっちで呼んでくれよ」
苦笑する白蓮に、愛紗は顔を赤くする。
「おお、これはご無礼を。白蓮殿、お久しぶりです」
「ああ、元気そうで何よりだ。……っと、初対面もいるようだから自己紹介しとく。私は幽州牧、公孫賛だ」
「初めまして。私は黄忠と申しますわ」
「華雄、月様の麾下です」
二人に頷いた白蓮は、改めて月に視線を向けた。
「どういう事でしょうか?」
「いや、私はつい先日まで向こうにいたから言わせて貰おうと思って。余計な差し出口ってなら止めとくけどさ」
「いえ、どうぞ。是非、ご意見を聞かせて欲しいです」
「わかった。私がこうして、独断で投降を決めたのがその理由さ。風、連合軍の内情は調べてるんだろ?」
「お見通しでしたかー。白蓮さんが仰せの通り、敵軍は全く纏まりがないみたいですねー」
「その通りさ。袁術の馬鹿さ加減に曹操は呆れ果ててるし、麗羽だって困惑ばかり。後はおべっか使いか、主体性のない連中ばかりさ」
「なら、袁紹が指揮を執ればいいじゃない。兵力では袁術と同じぐらいなんでしょう?」
「それさ。今の麗羽なら、袁術よりもずっと総大将には向いてる。……けど、あいつは裏方に徹していて、表に出て来ないんだよ」
私と戦いたくないという事もあろうが、寧ろそのような役回りを進んで引き受けたのであろう。
麗羽は変わったが、まだまだ人の上に立つだけの器量が足りぬ。
学ばねばならぬ事も多く、戦の駆け引きもまだまだ未熟だ。
己の部を弁えようと努める事で、少しは周りが見えているようだな。
「それでいて、皆名を上げる事にはご執心だし。そもそも、出兵の見返りを得ようと必死だな」
「愚かね。既に大義名分は破綻しているというのに」
「でも、勝てば官軍ですからねー。大義など、後からついてくるというのが言い分だと思うのですよ」
ある意味、幕府に対する薩長と変わらぬな。
錦の旗を立て、相手を一方的に逆賊呼ばわりするところも含めて、だ。
無論、手強さでは比較にならぬが。
「やはり、今一度痛い目に遭って貰うしかあるまい。袁術や太鼓持ちはともかく、それ以外の者は流石に無意味さを悟るやも知れぬ」
「そうね。歳三、虎牢関の防備は問題ないのでしょう?」
「愚問だぞ、詠。当初から虎牢関に敵を引き寄せる手筈ではないか」
「そうだけど……。孫策の行方が知れないって話だし」
詠は眉を寄せた。
「風。まだ雪蓮は捕捉できぬか?」
「はいー。四方に手配りはしているのですけどね」
「そうか」
何を企んでいるのかわからぬが、少数とは申せ看過は出来ぬ。
傍についているであろう周瑜……まだ会った事はないが禀や朱里らに劣らぬ才の持ち主である事は
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