精神の奥底
76 The Day 〜後編〜
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。落ち込まないでって言っても、絶対落ち込むと思う。でも今、悔しかったり、悲しかったり、怒りを覚えているのは、君が優しいからなんだってことだけは伝えたい』
「自分の身を危険に晒してまで、何で…僕に……」
『私は私なりに君の力になろうと決めた。だから今、私はどうなっていても絶対に後悔はしない。むしろ、君の側に立たなかった方が後悔したと思う。だから私に何かがあって、それに責任を感じているなら、前に進んで欲しい。君が少しでも正しいと思う方向へ。君の優しさと才能はきっと多くの人に寄り添える』
「う…ぅ…」
『最後に。君に会えて本当に良かった。君の友より』
ゆっくりと日記を閉じた。
深呼吸しながら、最後の一文を噛み締める。
そして声を上げた。
「うぉぉぉ!!!うぁぁぁ!!!」
「!?…凄い…綺麗…」
彩斗の雄叫びと共に、闇に支配されていた世界に夜明けが訪れた。
空を覆い尽くしていた雲は吹き飛ばされ、東の空から太陽が昇り始める。
淀んだ海は一瞬で透き通り、淡い群青色に支配された。
これこそが彩斗の心の本来の「色」だった。
「僕は…もう一度やり直す…!!僕を信じてくれた人たちの為に!!」
彩斗のその想いに呼応するように左腕にトランサーが現れた。
そしてどちらからともなく、手を取り合う。
「あっ…」
「行きましょう…」
『トランスコード!スターダスト・ロックマン!!!』
二人は銀色の竜巻に包まれると、共に一歩を踏み出した。
絶望に拉がれていたデンサンシティの一角で静寂を破る音が響いた。
「えっ?」
眠り続ける彩斗を囲むアイリスとメリーは耳を疑い、顔を合わせた。
彼の左腕のトランサーからビープ音が鳴り響き、急に再起動を始めた。
「再起動…?これは…」
アイリスが彩斗の左腕を掴み、トランサーの画面を確認した。
今までに見たことがないようなコンソールが起動している。
だが、それと呼応するように部屋に設置された計器類も反応しだした。
冬眠状態にあった心拍や体温が上昇を始めている。
「兄さん…」
「彩斗くん…」
色褪せていた顔に再び赤い血が流れているのがひと目でわかった。
触れれば、さっきまで凍りついていたのが嘘のようにほんのりと暖かい。
2人の元に春がやってきた。
自室で頭を抱えていたハートレスもその騒動に気づいた。
「何よ?」
ただし彼女の場合は一足遅かった。
再起動のビープ音や計器の動作音程度の生ぬるいものではない。
床を突き破るかのような激しい足音と木材がちぎれるような音。
廊下に飛び出すと、更に何か重く大きいものが倒れたよう
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ