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真夏のチゲ鍋
第三章

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「いや、もうサウナに入ったみたいよ」
「美味かっただろ」
「美味しかったけれど」
 それは事実だがというのだ。
「けれどな」
「汗かいたな」
「物凄くね、暑かったわ」
「そうだろ、けれどすっきりしただろ」
「すっきり?」
「ああ、とことん汗かいてな」
 そうしてというのだ。
「そうなっただろ」
「言われてみれば」
「身体のだるさもな」 
 これもというのだ、夏バテの。
「消えただろ」
「そういえば」
「だから俺も作ったんだよ」
「チゲ鍋を」
「そうさ、夏バテの時はな」
 この時はというのだ。
「栄養のあるうんと熱いもの食ってな」
「汗かくといいの」
「それも辛いとな」 
 熱いのに加えてというのだ。
「尚更な」
「いいの」
「ああ、だからな」
「チゲ鍋にして」
「汗かいて栄養も摂って」
「私の夏バテを解消してくれるのね」
「そうさ、暑い時に思いきり汗をかくとな」
 そうすればというのだ。
「疲れも身体の悪いものも出るしな」
「夏バテにもいいね」
「かえってな、じゃあかいた汗は風呂で流して」
「それで終わりね」
「先に入れよ、鍋は俺が洗うから」
「いいわ、一緒に入りましょう」
 藍里は夫の申し出に笑って返した。
「後片付け、洗うことも一緒にしてね」
「そうしてか」
「そう、その後でね」
「一緒に入ってか」
「汗落としましょう」
「そうするか、じゃあまずは一緒に後片付けしような」
 大輔も笑顔で応えた、そうしてだった。
 二人で後片付けをしてから風呂に入った、すると藍里はもう完全に夏バテから解放されていた。大輔はそれからも時々料理を作ったがそれは夏でも熱いものだった。だがその熱さが藍里を健康にさせた。


真夏のチゲ鍋   完


                2021・9・24
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