第二章
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「食ってくれよ」
「お野菜を食べればいいのね」
「夏バテにはな、ただな」
「ただ?」
「本番は夜だからな」
この時だというのだ。
「楽しみにしてくれよ」
「夏バテ解消の栄養のあるものね」
「ああ、それを食ったらな」
夫は一緒に特製の素麺を食べる妻に笑顔で話した。
「かなりよくなるからな」
「食べるといいのね」
「絶対に食ってくれよ」
妻にこうも言った。
「約束だからな」
「わかったわ、それじゃあね」
「昼はな」
「このお素?をね」
「食ってくれよ」
「そうするわ」
笑顔で応えてだった。
藍里は生野菜とドレッシングで味付けされた素麺を楽しんだ。その後で冷やして切られた瓜を食べ。
夜を待った、それまで藍里は自室で仕事をしていたが。
夫の出来たぞという言葉を受けてキッチンに赴いた、だが。
テーブルの上にある料理を見て目を剥いて言った。
「何これ」
「何これって見ればわかるだろ」
テーブルの傍に立つ夫は妻に満面の笑顔で答えた。
「チゲ鍋だよ」
「韓国料理よね」
「ああ、そうだよ」
その通りという返事だった、鍋でありその中にあるキムチや鶏肉、茸、韮や葱に生姜それに豆腐がグツグツと煮えている。
「〆のラーメンもあるからな」
「夏だけれど」
「それだ、夏だからなんだよ」
夫はドヤ顔で言ってきた。
「これにしたんだよ」
「熱いわよ」
苦い顔でだ、妻は夫に答えた。
「夏にこれは」
「だから暑い時にな」
夏、この時にというのだ。
「熱いものを食ってな」
「そうしてなの」
「思いきり汗をかくんだよ」
「汗をなの」
「そうしたらいいんだよ」
「熱いのに」
「だからそれがいいって言ってるだろ、兎に角食うぞ」
今からというのだ。
「いいな」
「汗をかきながら」
「たっぷりな、そうしてな」
「食べるのね、今から」
「鶏肉に野菜、豆腐と色々入ってるからな」
大輔は今度は具の話をした。
「栄養は満点だぞ、じゃあ食おうな」
「わかったわ」
暑い時に熱くしかも辛い鍋なんてと思いながらだった。
藍里はテーブルに着いた、そして食べると。
すぐに汗が出た、熱さと辛さは嘘をつかなかった。藍里は顔だけでなく身体全体から凄まじい汗を流しながら鍋を食べた。
食べれば食べる程汗が出る、それでタオルでしきりに汗を拭きながら食べるが。
それは大輔も同じだった、夫婦で全身汗だらけになりながらチゲ鍋を食べた。そして最後にラーメンを食べると。
満腹だった、だが。
それ以上にだ、藍里は全身汗だくでシャツも半ズボンも水に浸かった様になっていた。それでこう言った。
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