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真夏のチゲ鍋
第一章

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               真夏のチゲ鍋
 夫の大輔の言葉にだった、妻の新内藍里は思わず聞き返した。茶色の髪はショートで垂れ目であり細い眉も目をなぞっている。口は優し気で顎の先は尖っている。一五九位の背で地味な服装から見事なスタイルが浮き出ている。大学を卒業して四年目で夫と結婚して三年になる。今の仕事は在宅である。
「お料理作るの?」
「ああ、今度の日曜な」
 大輔は妻に明るく言った、収まりの悪い黒髪で元気のいい顔立ちで目もやんちゃな感じだ。一七三程の背で引き締まった身体つきだ。口と耳も大きい。仕事はサラリーマンである。
「そうするよ」
「あなたお料理出来るの」
「結婚してから作ってなかったけれどさ」
 妻より三つ上の夫は笑って話した。
「これでも一人暮らしの時はな」
「自分で作ってたの」
「その方が安いし栄養バランスもいいだろ」
「ええ」
 その通りだとだ、藍里は夫に答えた。
「だから私もね」
「作ってるよな」
「コンビニ弁当とかスーパーのお惣菜よりもね」
 そういったよりもというのだ。
「あと出前とか」
「やっぱり安くつくしな」
「それで栄養バランスもね」
 夫の言う通りにというのだ。
「考えやすいわ」
「だろ?だから俺もな」
「独身の時はなの」
「大学の時から一人暮らしだったしさ」
 それでというのだ。
「料理もな」
「作ってたのね」
「一度に作ってな」
 そしてというのだ。
「時間をかけてな、インスタントラーメンとかもよく食ったけれど」
「それでもなのね」
「作ってたんだよ、カレーとかおでんとか」
「そうだったの」
「あとシチューとかサラダとかな」
「それじゃあ」
「ああ、今度の日曜はな」
 その日はというのだ。
「俺が作るよ」
「それじゃあね」
「お前最近疲れてるしな」
 妻を気遣ってというのだ。
「だったら日曜はな」
「ゆっくり休めっていうの」
「夏バテしてるだろ」
「今年はちょっとね」
 藍里も否定しなかった。
「あんまり暑いから」
「そうだろ、だったらな」
「日曜はなのね」
「ゆっくり休んでな」
 そうしてというのだ。
「俺が作る栄養満点の料理食ってな」
「夏バテ解消ね」
「そうしろよ、じゃあ日曜の夜は楽しみにしていろよ」
 こう言ってだった。
 日曜は大輔が料理をすることになった、朝食は簡単にトーストで昼は素麺だったがつゆではなくトマトやセロリ、玉葱等を細かく刻んでドレッシングで味付けしたものをたっぷりとかけて食べた。ここで彼は言った。
「やっぱり野菜だよ」
「野菜を食べることね」
「生野菜でもな」
「沢山食べることね」
「それがいいんだよ、冷やした瓜も切ったから」
 これもあるからというのだ。
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