第111話『情報戦』
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、緋翼がピシャリと制する。話を遮られた終夜は不満顔だったが、「悪い悪い」と頭を掻いて話を戻した。
「んで、残るは小鳥遊って人だが……飛ぶってこと以外何もわからん」
【花鳥風月】の残り1人のメンバー、小鳥遊 舞には、確か結月が予選で出会っている。その時は翼を広げて飛んでいたことしかわからなかったようなので、今はこの情報だけだ。
「空中戦なんか仕掛けられたら、たまったもんじゃないですね」
「そういう時はどうにかして引きずり下ろすんだよ。相手の得意分野で戦ってもしょうがないだろ?」
「なるほど……」
空対陸では陸が不利になると思ったが、終夜の意見に頷かされた。やっぱり彼からは色々なことを学べる。
でも引きずり下ろすってどうやるんだろ……。
「うし、【花鳥風月】に関する情報はこんなもんか。後は明日になってからだな」
事前の情報共有は済んだ。残るは戦闘に直結する特別ルールの内容に尽きる。
さて、吉と出るか凶と出るか──
*
『魔導祭も残すところあと2日! 本日も気合いを入れて実況して参ります!』
魔導祭は4日目を迎え、いよいよ終わりが見えてくる。ここまで短い時間だったが、とても長く険しい道のりだった。
予選も通過できなかった弱小チームが、本戦の準決勝まで登りつめている事実。そんなマンガのような展開に感動すら覚えている自分がいた。
今日を勝ち上がればいよいよ決勝戦。そんな大舞台に是非とも立ってみたい。
『それではトーナメント表の方をご覧下さい。本日は午前と午後に1試合ずつ行なっていきます』
昨日のように、試合は午前と午後に分かれ、順番もランダムということらしい。
たった2試合に1日丸々使うのはどうかと思うかもしれないが、出場してみると連戦するのがどれだけキツいかよくわかったので、これは正当な仕様だと思う。
『午前の試合は──おぉっと、いきなり優勝候補のぶつかり合い! 【ヴィクトリア】対【覇軍】です!』
「「「わあぁぁぁぁ!!!」」」
まだ試合が始まってもいないのにこの歓声。優勝候補という名は伊達ではないとよくわかる。正直、この試合に勝った方が優勝と言っても過言ではないのだ。観客の盛り上がりも妥当だろう。
『続いて午後の試合は、実に珍しい学生同士の戦い! こちらも見ものです! 【日城中魔術部】対【花鳥風月】!』
「「「わあぁぁぁぁ!!!」」」
午前の試合と比べると見劣りするかと思ったが、思いの外観客の盛り上がりは継続している。若き戦士たちの戦いがそれだけ真新しいということか。早くも緊張で頬が強ばる。
「俺らは午後か」
「休む時間があって助かります」
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