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Fate/WizarDragonknight
荒魂ファントム
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まえば、そっちの魔法使いが絶望するか?」
「やめ……」
「さあ! 俺の強さに絶望してファントムを生み出せ!」

 バハムートの腕の力がどんどん上がっていく。今に、可奈美の華奢な首をへし折ろうとする魔人。
 間に合わない、とウィザードが駆けだそうとした。

 その時。

 どこからともなく湧き上がる、紅蓮の炎。それは渦を巻きながら、バハムートの頭上に集っていく。

「何だ……!?」

 全身を貫く微熱に、ウィザードは顔を上げた。
 集っていく炎。竜巻のようにも見えてくるそれは、やがて刃となり、その中心に光る刀に走っていく。

「あれは……!?」

 その中に見える、小さなシルエット。
 剣を振り上げる、ローブの人物。その姿を彩るように、炎がどんどんたまっていく。
 そして。

神居(かむい)!」

 それは、斬った。
 可奈美を締め上げる手を切断し、彼女を地面に落とす。

「ぐああっ!」

 二つの異形を取り込んだ怪物は、悲鳴を上げるものの、即座に再生。
 ローブが繰り出した蹴りとバハムートの蹴りがぶつかった。
 そのまま、蹴りを連打したローブは着地する。

「ちぃ!」

 思わぬ新手の反撃に、バハムートは可奈美から離れる。
 しゃがんだ足を伸ばし、その日本刀をバハムートに向けるローブ。その刀の先端が欠けていることに、ウィザードは気付いた。

「君は……?」

 一方の可奈美。彼女は、じっとローブの姿を見て、顔を輝かせた。
 そして。

 そのローブが風により浮かび上がり、下ろされていく。
 現れたのは、少女の顔。
 ツーサイドアップにまとめられた髪の一部が、炎のように輝き、その下に燃えるように輝く真っ赤な瞳がある。
 元気そうな顔つきは、揺るがない自信に満ち溢れている。彼女は、可奈美の姿を認める。
 二人の少女は、数秒見つめ合い、笑みを零す。

「……行こう!」
「うん!」

 可奈美とローブの少女は、共に頷きあった。
 千鳥、切っ先が折れた日本刀が並ぶ。

「図に乗るな!」

 バハムートの全身……荒魂の紋様が表に出ているところから、無数の光弾が発射される。
 だが、白い光に包まれた二人の少女たちは、それをいとも簡単に切り裂く。

「ちぃ!」

 バハムートの腕が、ローブの少女の日本刀とぶつかる。

「貴様、一体何者だ……!?」
「うわっ、荒魂が喋った……! ってことは、スルガと同じなの?」
「ふん!」

 バハムートの蹴りが炸裂する。だが、ローブの少女もまた足蹴りにより、その軌道を反らし、逆に斬り込む。

「むっ!?」

 同時にバハムートは、背後にも腕で防御した。回り込んだ可奈美の千鳥が、甲高い音を立てた。
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