暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第98話:英雄とは
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颯人が奏に注意を向けている間に、奏は一瞬だが視線を彼の背後――と言うか上空に向けたのだ。
颯人はそれが意味している事に気付いた。
「クッ!?」
奏に向けていたウィザーソードガンを引き、振り返った颯人は上空から降ってきた奏のアームドギアを寸でのところで弾いた。
彼に背負い投げられた瞬間、奏はアームドギアを勢いで手放したのではなく態と自分から手放したのだ。
結果、颯人に投げられた際の勢いも利用しての投擲で上空に投げられた奏のアームドギアは、颯人の意識が完全に奏に向いた頃に自重で落下してきた。奏は軽々と振り回しているが、見た目に違わぬ重量なので位置エネルギーも合わせて落下の勢いは侮れないレベルとなる。直撃すればただでは済まなかっただろう。
幸いギリギリのところで弾く事には成功したが、それは同時に奏に無防備な姿を見せる事になる。自身に背を向けた颯人を、奏は容赦なく蹴り飛ばした。
「ぐぉっ!?」
先程投げられたお返しと言わんばかりの蹴りを喰らい、地面に倒れる颯人。その間に奏はアームドギアを回収し、体勢を整えてしまった。
「仕切り直しだ、颯人」
「いつつ……へっ! 上等だ、奏」
「もうこれ以上、戦わせない」
「意地でもお断り。奏を守る役は、他の誰にも譲るつもりは無いんでね」
「ここまで言っても、分かってくれないんだな」
「こっちのセリフ。意地っ張りな所は大人になっても変わらねえな」
唐突に始まった口での応酬。互いに口が回るから勝負はつかない。そんなのは子供の頃から分かっていた事だ。
分かっているのに、やらずにはいられない。状況的に敵味方に分かれてしまったが、根っこの部分ではやはり仲が良いのだ。
それが分かったからか、2人は唐突に笑い出した。
「ぷふ、はははははっ!」
「く、はっはっはっはっはっ!」
もしこの場に第3者が居れば、非常に奇妙な光景に見えた事だろう。つい先程まで戦っていた2人が唐突に笑い合い始めたのだから。
だが仮にこの場に第3者が居た場合、更に困惑するのはこの後だ。
笑い合っていた2人は、一瞬で雰囲気を変え再びぶつかり合ったのだから。
「「愛してるんだよ、お前の事を!!」」
***
颯人と奏が激しくぶつかり合っている頃、透とクリスはウェル博士を探してフロンティア内部に突入していた。
道中邪魔してくるノイズやメイジを蹴散らしながら2人が施設内部に突入し進んでいると、突然クリスの動きが鈍った。
「な、何だ? ギアが、重く――――!?」
様子がおかしくなったクリスを透が心配して傍に寄ると、物陰からウェル博士がソロモンの杖を手に姿を現した。
「フッフッフッフッ……Anti
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