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ペルソナ3 異界の虚影
後編
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この黒幕は直接叩かないと気が収まらない。」
真田さんと順平の怒りのセリフに、美鶴さんも厳しい表情で「私も同じだ。」とうなずいた。
「それじゃあ、みんなでぶん殴りに行きますか。」
私は改めて気合を入れると、勢いよく薙刀《なぎなた》を振り上げる。
「決着をつけよう。」
『彼』もそう言って応えてくれた。
怒れる5人は3階へと足を踏み出した。

そこにいたのは見上げるほど巨大な大きさの異なる青黒い球の集合体だった。体からは更に次々と新たな球が膨れては消えている。その球の一つ一つに、目のようなものが一つずつ赤く光っている。
3階も1、2階と同様に黒ずんだ異空間と化している。その奥に異形のモノは待ち受けていた。
その姿を見た瞬間、私を含めた全員が「あっ」を声を上げた
(そうだったのか!)
これまで忘れていた記憶がはっきりとよみがえってきた。おそらくみんなも同じなのだろう。
「その姿・・・間違いない。」
美鶴さんがつぶやく。
「ああ、ようやく思い出した。また今回も随分と悪さを仕掛けてくれたな。」
真田さんが怒りをこらえきれないように声を絞り出す。
【我はオイジュス。苦悩の神である。】
頭の中に重々しい声が響き渡った。
オイジュスはギリシャ神話ではニュクスの生んだ子供の一人となっている。
この「苦悩の神」は、ニュクスのもたらす「滅び」に対して抗おうとする特別課外活動部の存在を良しとしなかった。そして、ニュクスが降臨する前に私達を排除しようと暗躍していた。
テオの話では、オイジュスは「本来存在しないモノ」であり、それゆえ現実世界では私たちに直接介入することができない。そこで、たびたび私達を自分が作り出した異界に引きずり込み、そこで抹殺しようとしてきた。
私達は、その度にオイジュスを退け、何度か倒しもしたのだが、「本来存在しないモノ」ゆえに完全に滅ぼすこともまた難しいらしい。しかも私達は、現実世界ではオイジュスについての記憶を維持することができない。
結果的に対抗手段を取る事もできず、毎回 その罠にはまってしまうことになる。非常にやっかいな相手だった。
【ニュクスの降臨はもはや目前に迫っている。これ以上、お前達の存在を看過することはできない。 】
オイジュスの声が響く。
「毎回、そんなこと言ってるけど、全然私たちを止められないじゃない。」
私は無性に腹が立ってそう言い返した。
「俺たちの心の傷をえぐるという、その汚いやり口が許せない。今回も随分と神経を逆なでしてくれたな。」
真田さんの声に怒りが混じる。
【残念ながらここまで止めらることが叶わず、お前たちは力を増してしまった。今のお前達を排除するのは我にも困難であろう。そこでお前たちの心の中にある不安・後悔・心残りといった感情を形にして、お前たち自身にぶつけたのだ。】

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