後編
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今回の異変について、私たちはベルベットルームでイゴールさんから説明を受けた。
私たちの世界と並行した別の世界があるということ。
そのもう一つの世界に私は存在せず、代わりに私と同じ役割をしている男性がいるということ。
そして、その時ベルベットルームには『彼』も来ていて、私と並んで立って話を聞いているということを。
確かに、私はおぼろげに『彼』の気配を感じていた。時折、声も聞こえた気がする。。
しかしいくら見ようとしてもその姿をはっきり捉えることができず、それどころか『彼』に意識を向けることもできなかった。
たとえ声が聞こえても、意識を向けられないのでは会話もできない。
もしかしたら、これは私の錯覚なのでは、と疑ったりもした。
しかし驚いたことに、その場にいた特別課外活動部のみんなには、私と『彼』、二人の姿がはっきり見えているのだという。
そしてみんなには、私についての記憶と同時に『彼』についての記憶もあるのだという。
みんなは二つの世界、両方の記憶を持っているという異常な状態にありながら、それについて何も違和感を感じていないと言っていた。
ゆかり は記憶のダブりについて、「同じところに2回旅行に行った」程度の感じだ、と言っていた。
みんなからすれば『彼』の存在を認識できていない私の方が不自然に見えたことだろう。
アイギスは、私達二人ともが『そばにいることが大事な人』だと言った。
ゆかり は、『彼』のことが気になるらしくて、歩きながらもちらちらと目を向けている、ことに私は気づいた。
順平が、肩に手をまわして『彼』をからかったとき、『彼』はめんどくさそうに「どうでもいい」と答えていた。
学生寮の前にいた3体のシャドウは、先輩たちと一緒に『彼』もペルソナを呼び出して排除した。
1階ロビーで戦闘に入った時、『彼』はアイギスや順平と一緒にチドリと戦い、スカディのニブルヘイムで敵を凍り付かせた。
私たちは二人で一緒に階段を駆け上がり、幾月に対しては私と交互に問いただした。
そして『彼』がサトゥルヌスを召喚して、幾月にアギダインで先制攻撃を仕掛けた。
別の世界で私と同じ役割を担うという男性。
『彼』が私で、私が『彼』。
『彼』が私と一緒にいること、それはこの異常な状況下だけの特別な状態だとイゴールさんは言っていた。
その『彼』の姿が、今 私にもはっきりと見えている。
月光館学園の制服を着て、どちらかというとやや小柄でスマートな立ち姿。首に下げた音楽プレーヤーとヘッドホン。
『彼』は召還したアルラトで障壁を張ると、怪物の強力な魔法攻撃を反射して返した。
予想外の反撃をくらって、怪物が雄たけびを上げて倒れる。
『敵の弱点分かりました。物理攻撃が有効です。』
風花の緊迫した声が聞こえてきた。
『負けないで。
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