暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga32彼の今〜Side Asgard〜
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名前を呼び、冷たくなっている頬を順に撫でて行った。3人の遺体は創世結界に封印されている間に、ルシリオンやシエルの姉ゼフィランサスの“異界英雄エインヘリヤル”によって完全修復され、封印された当時とは違って綺麗なものだ。
「人の身では魂は知覚できないが、きっと天に昇ってくれているのだと思う」
そう言って涙する目を拭うことなくルシリオンは「どうか安らかに」と3人の遺体から空へと視線を移した。もし魂が見えていれば、棺に納められた瞬間に遺体から3人の魂が浮かび上がり、ルシリオンに感謝を示すかのように、彼の手にそっと触れたのが判ったかもしれない。
――兄様――
――ルシル――
――ルシル様――
そうしてシエル、シェフィリス、カノンの魂は、次の人生を歩むために昇天を果たした。それからルシリオンとフェンリルは、シグルリンが“ユグドラシル”内で常時展開している無限の広さを持つ天空廟、“ユグドラシル・マウソレウム”へと移動。雲ひとつとして無い青空の中に無数の柩が螺旋状に列を成して並んでいる空間で、特定の柩を参るための浮島があり、そこが外の空間との出入口となる。
「マスター。シェフィリスとカノンの柩なんだけど、ニヴルヘイムとアールヴヘイムの現政権が引き取りたいと言ったら・・・」
「その際は引き渡そう。・・・なあ、フェンリル。先ほどフレースヴェルグが同盟世界云々と言っていたが、当時の各同盟世界も復興を果たしているんだな?」
「もちろん。ムスペルヘイムとニダヴェリールは星そのものが崩壊したからダメだったけど、アールヴヘイム、ニヴルヘイムは復興を果たしたよ」
「スヴァルトアールヴヘイムはどうなった?」
「一度は魔族によって滅亡させられはしたけど世界は残っていたからね。アースガルドに避難していたスヴァルト民は、ラグナロクの影響が収まった後で帰ったよ。ちなみに柩はアースガルドに残していったね。アンスールのメンバーと共に在った方がいい手はなしで」
「そうか。なら、シェフィとカノンの遺体も、ひょっとしたらここに安置したままでいいかもしれないということか」
「その辺りは現政権に確認してみないと判らないけど、たぶんね」
「政権・・・。そう言えばアースガルドの政権はどうなっている?」
「アースガルドが王政を廃止してもう5千年近くなるかな。セインテスト王家の国王だったマスターは封印、クルセイド王家とレアーナ王家はフノスとイヴィリシリアの死で滅亡。生まれたばかりの幼子ということで大戦や堕天使戦争に参加できなかったグローリス王家のルドー殿下とその子孫が、マスター封印後1000年はアースガルドを支えてくれてたけど、世継ぎを生む前に当時のミリア女王が急逝したことで滅亡。そこからは私が全権を握って、今は元首が私、民間から選
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