暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga32彼の今〜Side Asgard〜
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伝え、飛び去って行った。
「まずは棺を取りに行かなければいけないんだが・・・。霊廟のある階層にバルコニーが無いのは問題だな。ここまで運んでこなければならない」
己の創世結界に封印されているシエル、シェフィリス、カノンの魂を解放するには屋外で彼女たちの肉体を出す必要がある。そして数千年も創世結界に封印し、ようやく外に出られた彼女たちを再び閉じ込めるわけにはいかないと考えていたルシリオンは、どうしてもこの広く青い空の下で彼女たちを棺に納めたかった。
「あ、待ってマスター。実はね、この6千年の間に霊廟の勝手がちょっと変わったんだ」
「というと?」
「改築したの。ほら、いくらユグドラシルが広いからと言って霊廟ばかり増築するわけにもいかないでしょ? だから空間干渉能力を持って生まれた子に、霊廟階層をいじってもらったわけ。まぁ見てもらった方が早いから、霊廟の管理者を呼ぶね。・・・シグルリン! 棺を3つ持って、私のところにちょっと来て!」
フェンリルが塔内に向けて声を掛けると、「はい。ただいま!」と女性の声でそう返ってきた。ルシリオンとフェンリルの側に現れた揺らめく空間より歩き出てきたのは、大人びた声に対して外見が10歳ほどの少女。美しい金色の髪はボブカット、翡翠色の瞳、黒を基調としたエプロンドレス姿。彼女の背後には3つの棺が浮遊している。
「マスター。この子が現在の霊廟の一括管理者、シグルリン。シグルリン。見て判ると思うけど、彼が私のマスター、そしてセインテスト王家の王、ルシリオンよ。ご挨拶を」
「はい。フェンリル様。お会い出来て光栄です、ルシリオン陛下。わたくし、エルフのシグルリンと申します。どうぞ以後お見知りおきを」
恭しく礼をするシグルリンにルシリオンは「こちらこそ」と右手を差し出して握手を求め、彼女は嬉しそうにその手を取って応えた。
「早速だがシグルリン。棺を開けてもらえるか。シエル達を早くゆっくり眠らせてやりたい」
「かしこまりました」
シグルリンが軽く手を振るうと3つの棺は芝生の上にそっと置かれ、さらに振るうと分厚い蓋がフワリと浮き上がった。ルシリオンはそれを確認すると棺の側に近寄り、「我が手に携えしは確かなる幻想」と、創世結界起動の呪文を詠唱。
「長く待たせてしまってすまなかった。・・・シエル、シェフィ、カノン」
ルシリオンが名前を告げると、彼の胸からアメジスト色、アイスグリーン色、黄金色の魔力流が溢れ出てそれぞれの棺に収まっていく。そして魔力は人の形へと変化していき、セインテスト王家第2王女シエル、ニヴルヘイム王家第2王女シェフィリス、アールヴヘイム第8王女カノンの肉体となった。
「シエル、カノン、シェフィリス・・・」
3人の遺体を見たフェンリルは声を震わせて
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