暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga32彼の今〜Side Asgard〜
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ンの体の修復を見届けたフェンリル達は、そろそろいいだろうと判断して封印解除に移る。封印解除は術者であるフェンリルが行い、万が一に備えてバイタルの安定を担うフレースヴェルグ、ルシリオンの体を支えるヨルムンガンドの2人が結晶体の側に着いた。
「いくよ!」
「「うむ!」」
フェンリルの周囲に魔力で出来た小さなルーン文字が何十個と出現し、風に舞う花弁のように彼女の周囲を浮遊する。檀上の台座に置かれている結晶体を取り囲むようにルーンで描かれた陣が四方に出現。
「
封印解放
(
リリース
)
」
その一言で結晶体が砂の城のようにサラサラと崩れ始め、ルシリオンの体がフラリと倒れそうになったのをヨルムンガンドが抱き止め、フレースヴェルグがすぐに脈や呼吸を計り、問題ないことを知らせるためにフェンリルとヨルムンガンドに笑顔を向けた。彼女の笑顔に2人も安堵の笑みを浮かべ、眠っているかのようなルシリオンの顔を見た。
「顔色も悪くないし・・・」
「ルーンで体内を精査した結果、体内の臓器や神経、筋肉なども完璧に修復されているのを確認した。じきに目を覚ますだろう」
「そうか。・・・ルシリオン様がようやく
原初世界
(
アースガルド
)
に戻られたのだな」
「うん。・・・さ、ほら。私がマスターを寝室に運ぶから退いてよヨルムンガンド」
「否。我が運ぶ」
「あなたとは違って私はマスターの正式な使い魔なの! 従者が主を運ぶのにおかしなことってある!?」
「・・・ない」
「でしょー? ほらほら、どいて、どいて」
心底残念そうに譲るヨルムンガンドとは対照的にフェンリルは幸せ一色の笑顔満面で、ルシリオンの体を横抱きで抱え上げ、彼が使用していた寝室へと歩き出そうとしたとき、それは起きた。
「・・・ん・・・ぅ・・・ぁ・・・」
ルシリオンが声を漏らし、身じろぎをしたのだ。ハッとしたフェンリルとヨルムンガンドとフレースヴェルグはルシリオンの顔を覗き込み、それぞれ彼を声を掛けていく。
「・・・フェンリル・・・ヨルムンガンド・・・フレースヴェルグ・・・?」
「マスター!」「ルシリオン様!」「グローイ!」
まぶたがゆっくりと開き、初めは合わなかった焦点が徐々に合っていってフェンリル達を認めると、ルシリオンが彼女たちの名前を呼んだ。6千年など彼女たちにとってはうたた寝のような時間だが、それでも久しぶりに名前を呼ばれた彼女たちは感極まって涙を流した。
「私はいったい・・・? 確か・・・私とシエルとシェフィとカノンの4人で、ガーデンベルグ達とヴィーグリーズで・・・」
“ユルソーン”で貫かれ瀕死になったことで記憶の混濁が起きているらしいルシリオンを、フェンリルは混乱による暴走を懸念して床に降ろす。胡坐をかいたルシリ
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