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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga31王の帰還〜Return〜
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実力を欲した神意の玉座の“界律”は、彼の身が受けた不死と不治の呪いが解除されるまでの間、“テスタメント”として活動するよう契約を提案し、彼も“堕天使戦争”を終わらせるためには人の身では不可能と判断して、その契約を受け入れた。それが新4thテスタメントの誕生であった。

「同時に、マリアの契約も完遂された。彼女がテスタメントとして活動する期間は、私がテスタメントから解放されるまで。相違はないはずだ」

――確かに。4thテスタメント、5thテスタメント、貴方たちとの契約は見事果たされました。長きに亘ってご苦労様でした。貴方たちは死後の魂ではなく、存命中に精神との契約でしたね。では、貴方たちは元の世界へとおかえりなさい――

“界律”からの契約完了を認めてくれた言葉にルシリオンとマリアは安堵して、険しかった表情を和らげた。しかし、その表情はすぐに凍り付くことになる。

――界律の守護神(テスタメント)として活動していた間の記憶を消去し、得た知識や情報などを削除します。そして改めて、神意の玉座やテスタメントの事など知らぬ只の人として、残りの人生を完遂しなさい――

「・・・。は? ま、待ってくれ! 記憶を消す!? 何故だ! 何か不都合でもあるのか!?」

真っ先に声を荒げたのはルシリオン。当然だ。八神はやて達と共に過ごしてきた時間を、記憶を守るため、“テスタメント”期間中に得た数ある記憶を、人間時に獲得した神器などを犠牲にしながらも戦い、そして勝利した。その努力のすべてが無駄になるという。

――無論です。神意の玉座は神域、テスタメントは万能の奇跡。霊長の審判者(ユースティティア)は悪神。それを人の身で知り得ているのは禁忌なのです。人の身でありながら5thテスタメントへと精神を昇華させたマリアという一例や、さらには過去にもテスタメントとユースティティアの戦いを知り、忌々しいユースティティアと成った人間もいます。テスタメントや玉座を知らなければ、成り得なかったものを――

「わ、私の・・・所為でもあるのですか・・・?」

まさしくマリアの行った、人間の精神神格化も記憶抹消が成される原因でもあり、彼女はショックを受けてその場に崩れ落ち、「ごめんなさい、ルシリオン様」と絞り出すかのように謝罪の言葉を口にした。

「それは違うぞ、マリア」

「ですが・・・!」

「界律よ。私もマリアも人生を賭けた願いを無事に果たした。故に玉座やテスタメントのことを憶えていようとも、自らテスタメントやユースティティアになろうとは今後一切考えることなどない。それでもダメなのだろうか?」

――ええ。駄目です。貴方たちの記憶抹消は確定事項です。諦めてください――

残酷な結末に、冷静を装っていたルシリオンもとうとう「ふざけるな・・・ふ
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