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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
第六十話  衝突する魔導師
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あくまで、一般の客を装っての行動だ。

周辺を注意深く見回しながら、ゆっくりと歩くアスカ。

「いい天気だね。緑もいっぱいで気持ちいいや。これで彼女でもいりゃ言う事なしだね」

芝居なのか本音なのか。アスカはそんな独り言を呟く。

『全然反応がないな。軽く魔力でも放出してみっか?』

ノホホンとしているようで、しっかり周囲に気を張っているアスカが物騒な事を言う。

『やめてください。ジュエルシードが覚醒状態になったらどうするんですか』

『冗談だよ。しかし、残留魔力も無いとなると、見つけるのが難しい……ん?』

小川の近くに差し掛かった時、アスカは反対側にいる一組のカップルを目にした。

仲むつまじく、幸せそうに肩を寄せている。

「羨ましいね、恋人同士でシッポリ温泉かよ……いっ?!」

思わずボヤいたアスカが息を飲む。そのカップルに見覚えがあったからだ。

(し、士郎さんと、桃子さん!!)

若いカップルかと思ったら、そこにいたのは派遣任務の時に顔を合わせたなのはの父と母だったのだ。

(ちょっと待て。10年前って事は……隊長が小学生。美由希さんが高校生。そんで、大学生の兄貴がいたって話だった筈。どんだけ若々しいんだよ!)

いまだ新婚並みにラブラブな二人に、心の中で突っ込みを入れるアスカ。

(ま、まあ、今は過去の世界にいる訳だからな。向こうはオレの事を知らないし、このまま知らん顔してやり過ごそう)

呑気な顔で二人の前を横切るが……

「ん?」

小川の対面にいる士郎が、なぜかアスカに目を向けた。

(ギクッ!)

視線を合わさずに、そのまま通り過ぎるアスカだったが、内心冷や汗をかいた。

「……」

特に何をする訳でもなかったが、士郎はジッとアスカを目で追っていた。

その視線を、アスカは強烈に感じ取っていた。

(な、何だよ!オレ、何かしたか?コエーよ!)

ビクビクしながら、アスカはその場を足早に去っていった。



士郎は少年の姿が見えなくなるまで、その背中を見つめていた。

「あなた。あの子がどうかしたの?」

少年に視線を送り続けていた士郎に、桃子が尋ねる。

「……いや。今時珍しいなと思ってね」

「え?」

「あぁ、何でもないんだ。気にしないでくれ」

士郎は言葉を濁す。桃子も、それ以上は何も聞かずに、また肩を寄せてきた。

(全身に力みが無く、でも周囲に気を張っている。そして、正中線を崩さずに歩いていた。武術をしているようには見えないが……何者なんだ?)

士郎は、アスカの歩く姿勢を見ただけで、彼がただ者ではない事を見抜いていた。



そのころ……

「な、何なんだよ〜
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