暁 〜小説投稿サイト〜
ペルソナ3 異界の虚影
中編
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「フフフ・・・」
凍り付いた雰囲気の中に、ふいに笑い声が漏れてきた。
「一人ならともかく、別々の状況で死んだはずの3人が『実は生きていました』というのはさすがに無理があるだろう。」
真田さんが順平から手を放して、静かに前に進み出る。
「ニセモノです、と言っているようなものだ。」
「そうだな。確かに、明彦の言うとおりだ。人を惑わすにしてもやり過ぎだ。」
美鶴さんも同意した。二人に冷静さが戻ってきている。
先輩たちの言うとおり、こちらの動揺を誘うための策略だとしても過剰に盛り過ぎだ。ただそれにしても、ニセモノたちはあまりにも私の記憶に残る姿そのままだ。大切な人のそんな姿は見るのは苦痛でしかなかった。
私は薙刀《なぎなた》を握る手に力を込めた。
「シンジ、お前の化けの皮は俺が剥いでやる。」
真田さんが気持ちを振り払うように、荒垣さんに向けて拳を突き出した。
「てめいにそれができるかよ。」
荒垣さんが鋭い目つきでそう言い返した。
その言葉がゴングであったかのように、真田さんがいきなり飛び出し、ダッシュで一気に距離を詰める。
荒垣さんがそれに合わせて手にした鈍器を振り回した。
真田さんはフットワークで攻撃をかわす。
荒垣さんはその怪力でさらに鈍器を旋回させ、それ以上の接近をゆるさない。
さすがの真田さんもそれ以上はなかなか近づくことができない。
攻めあぐんでいるところに、突然、槍が突き出された。荒垣さんはかろうじてそれをよけて後退する。
「僕もやります。」
天田君が槍をかまえたまま真田さんに並ぶ。続いてコロマルも駆け寄って唸り声を上げた。
「フン。天田に、コロもいっしょか。久しぶりに遊んでやれるな。」
荒垣さんは歯をむき出して見たこともないような凶悪な笑みを浮かべると、召喚器を頭にあてた。

「それでは、チドリさんの相手は私が。」
経過を見ていたアイギスはそう告げると、正面のチドリに向き直る。
それに合わせてチドリが召喚器を手にした。
「おいでメーディア」
浮き上がるように現れたペルソナが火炎攻撃を放ち、アイギスが炎に包まれる。
「トリスメギストス!」
そのとき、掛け声とともに飛来したペルソナが、メーディアに体当たりをくらわせた。
アイギスが炎から転げて脱出する。
順平が召喚器を頭に向けたまま、決意の表情を浮かべて叫んだ。
「アイギス、俺もやるぜ。」
攻撃を受けて体勢を崩したチドリが、ものすごい表情でにらみつけてきた。
順平は一瞬怯むが、それでも気を取り直したかのようににらみ返す。
しばしにらみ合いが続き、チドリの表情は次第に人外の物へと変わり始めた。

「ならば、お父様の・・・いや、こっちのニセモノの始末は私が付けよう。」
美鶴さんが剣を武治氏に向ける。
「私もやります。」
ゆかり が
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ