前編
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を回避しつつ進んだため、真田さんの予想に反して比較的のんびりした道行となった。
時折シャドウと遭遇することもあったが、全員で戦うほど激しい戦闘にはならなかった。
ニュクスとの対決を目前に控えて、みんなの戦闘レベルもかなり上がってきている。もはや街を徘徊するシャドウなど雑魚であり、てこずることもない。
戦闘のたびに前衛を交替しつつ、不気味な月明かりの中、私たちは黙々と歩き続けた。
「なんか、変な感じだよね。」
ふと目が合うと、ゆかり が少し気まずそうに話しかけてきた。
「本当にね。ゆかり は混乱とかはしてないの?」
「えっ、ああ。それはあんまり無いかな。なんていうか・・・同じところに2回旅行に行った・・・程度の感じ。」
「なるほど!」
私はその言い回しが妙に納得できた。
「むしろ、それが不自然だって言われてることの方が混乱するよ。」
ゆかり は、ちらりと横に目を向けると、私があまり見たことのない微妙な表情を浮かべた。
異常な状況下にあってみんな落ち着かない様子だったが、歩いているうちに少しずつ雑談も出てきて、次第に緊張感が緩んできつつあった。
こういうときのムードメーカーである順平が、いつものおちゃらけた調子で軽口をたたく。
「まあ、オレ自身が今の状態を変だとは思ってるんだけどさ、お前は自分でどう感じてるわけ?」
「別に・・・」
そこで順平は気安く肩に手をまわして顔を近づける。こいつはこういうときは、ともかくうっとうしい。
「なんかこう、もっとさー。これがワタシ? みたいなトキメキとかあるだろ?。」
「どうでもいい。」
「まーたまた、反応が薄いってーの!」
その様子が気になっていたのか、横目で見ていた ゆかり がすかさず切り込んだ。
「やめなさいよ。馬鹿じゃないの。」
毎度のことだが、ゆかり は順平に容赦がない。
「ってか、馬鹿じゃないの。」
「2回言うな〜!」
強烈な連続攻撃を受けて、順平は思わず手を放して後退しながらわめく。
「まったく、あいつらは相変わらずだな。」
真田さんが苦笑して言った。
先頭を歩いていたはずの真田さんが、いつの間にか私の横に来ている。
そして、私の様子をうかがうように話を続けた。
「それで、その・・お前の方は本当に大丈夫なのか。」
「私? ええ、全然いつも通りです。むしろ私からは、真田さん達の方が不自然な気がしてしまって・・・。」
「そうか・・・まあそうだろうな。」
真田さんは眉をひそめて地面に目を落とす。
「自分でもそう思う。頭では理解しているのに、全く当たり前のことのようにしか感じられない。おかしなもんだ。」
それから改めて私に目を合わせて言う。
「それでも、俺にとってお前はお前だ。だから何も気にすることはない。そのままいつも通りにしていろ。」
「はい。大
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