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ペルソナ3 異界の虚影
前編
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私は深くため息をついた。
「最近、おかしな出来事にはすっかり慣れっこになったきたんだけど・・・今回はさすがに驚いたよ。」
イゴールさんは静かにうなずくと、落ち着き払った様子で声で答えた。
「はい。正直、私どもにとっても予想外の事態ではあります。しかしここではまったく意味のないことは起こりません。たとえ今はわからなくとも、きっと必要なことなのでしょう。」
両脇に控えた美男美女、エリザベスさんとテオも神妙な顔つきをしている。
「それにしても・・・。」
そう言いかけたところで、私は改めて振り帰って見た。
「まさかこのベルベットルームにみんながいるなんて・・・」
ベルベットルーム。上昇し続けるエレベーターという非現実的な青い部屋。
そこは私だけが訪れることのできる「夢と現実、精神と物質の狭間にある場所」だという。
しかし、今 その場所に特別課外活動部の全員が勢ぞろいしていた。
みんな揃って戸惑った表情を浮かべている。こんな奇妙な部屋にいきなり連れてこられて、そこの主である鼻の長いギョロ目の怪しげな人物から摩訶不思議な話を聞かされたのだ。どう受け止めたらよいかもわからずに、困惑しても無理は無いだろう。
真田さんが腕組みをしたまま、考え込むようにして口を開いた。
「話は大体わかった。ここは現実ではない場所で、お前は以前からこの部屋をたびたび訪れていたわけだ。」
「ええ。説明するのも難しいので黙ってましたが、実はこれまでもいろいろとサポートしてもらっていました。」
私が申し訳なさそうに答えると、真田さんをそれを手で制した。
「まあ、それはいい。正直、こんな怪しげなところに出入りして大丈夫か気にはなるが、とりあえずそれについて今は信じておく。その人・・・イゴールさんの話では、どうせ現実に帰ったときには覚えていられないようだしな。」
それに続けて美鶴さんが口を開く。
「そうだな。むしろ奇妙なのは、今の状態について私が全く違和感を感じていないということだ。」
「そうそう、まるで最初から全部知っていたみたいなんですよね。」
すかさず ゆかり が同意する。風花と天田君もうなずいた。
「はい、私にとっても『そばにいることが一番大事』という認識は全く同じで変わりません。」
ロボットのアイギスまでそう感じているらしい。
「つまり俺たちが『いつもどおりの自分』でいるように感じていること自体が、普通の状態ではないということだ。」
真田さんに言われて、みんなが顔を見合わせる。
「そもそも部屋で寝てたはずなのに、気づいたらここにいたんすよ。それだけでも充分に異常でしょう。」
順平が声を上げる。
「寝巻に着替えたはずなのに、ちゃんと服を着ていて、武器と召喚機まで持ってますし・・・。」
天田君も槍を持ち上げて示す。
「なんだかとても不思議。も
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