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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結
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 11月も終わる頃、日曜日に中道から「一緒に、付いてって欲しい所がある」と誘われた。何か事情があるみたいで、詳しく聞かないでOKした。

「勉強のさまたげになるようで、ごめんね 何か、一人じゃぁ心細いから」

 当日の朝、駅で待ち合わせして、電車で向かった。途中乗り換えもして

「どこに行くんや」と聞いたが

「私も、よく、わからんね 初めてやから」と、訳のわからないことを言って返してきた。

 中道は、チャコールのダッフルコートにジーンのミニだったがスキニーを穿いているのに、向かい合って座っていると、細い脚を、僕はドキドキしながら時々、見ていた。テニスのスコートから伸びた素足を見慣れているはずなのに・・。電車の中では、中道が持ってきていた問題集をふたりで解きながら、目的地を目指していた。

 途中、右手に琵琶湖を望みながら、福井の敦賀に着いた。ここから、まだ、ローカル線に乗り換えるという。待ち合わせの間、ようやく、中道は訳を話し始めた

「先月な、お父さんが脳梗塞で救急入院したんよ。まだ、入院してるんやけど、それでな、お母さんが会社のことを見ることになってな。それまで、経理をやっていた女の人を、お父さんとの仲を疑って、追い出したのよ。それで、総務をやっている男の人とふたりでやっているみたいやけど。でもね、私、その女の人も、知っているけど、お父さんとはそんなことないと思うのよ。私なんかも可愛がってくれてたし・・。お父さん、まだ、頭がはっきりしないし、本当のこと聞けないし、私、その人に確かめたいと思って・・。実家に戻っているって聞いたから・・」

「そんなことになっているのに、なんで、もっと早く言わないんだよ 僕達は・・仲間だろう」

 中道のお父さんは、少し、大きめのステーキレストランを2店経営をしていて、サイドメニューとかスィーツも評判が良くて、新興住宅地にも3店目の開店を進めていると聞いていた。

 敦賀から何個目かの駅に降り立った。駅前は閑散としていて、タクシー乗り場にも1台も停まっていなかった。夏ならもう少し賑やかなんかも知れない。

「目的地はわかってんだろう どっち行くんだよ」

「あのね 高井って家で 民宿やっていたんだって」

「それだけか 住所調べてないんか」

「うん 田舎だったらわかるかと思ったんだもの 電話もお父さんしか知らないし・・」

「なんか 無鉄砲やのー いき当たりばったりかー」

「だから、三倉に一緒に来てって頼んだのっ 迷惑だった?」

「そんなことは無いよ 少し、あきれているだけ 仕方ないから、民宿がある方に、歩いて行くか― そこで、とりあえず聞いてみよう」

 バスもあるみたいだが、本数が無いみたいで、歩くことにした。多分、1Kmちょっとだろう。

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