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ドリトル先生と幸せになる犬
第六幕その十
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「理不尽だよ」
「そんな人達こそそうした目に遭うべきだよ」 
 ダブダブは言いました、やっぱり怒っています。
「むしろね」
「こんなに我慢強くて我儘も言わなくて思いやりがあるのに」
 ジップは同じ犬として思いました。
「酷い目に遭うなんておかしいよ」
「うん、僕も皆と同じ意見だよ」
 先生は皆の言葉に頷きました。
「本当にね」
「そうだよね」
「世の中おかしいよ」
「こんな娘は最初から幸せになるべきなのに」
「ご両親もご両親の飼い主の人達もペットショップの人もそう思っていたのに」
「それで生まれて大事にされてきたのに」
「そんな人達に飼われたなんてね」
 皆ふわりを見ながら先生に言いました。
「だからちゃんとしないと駄目だね」
「お店でチェックして」
「両親の飼い主さん、ブリーダーさん達だね」
「その人達もちゃんとしてね」
「ふわりみたいな娘が出ない様にしないと」
「本当に駄目よ」
「全くだよ、ましてペット業界には裏社会も入ってきているとね」
 先生は暗いお顔でこうも言いました。
「言われているし」
「裏社会ってヤクザ屋さん?」
「ヤクザ屋さんも関わってるんだ」
「そうなの」
「そうなんだ、噂ではね」
 先生は皆にこのお話もしました。
「ブリーダーも誰でもなれるしね」
「ヤクザ屋さんでもなれるのね」
「そうなんだね」
「そしてペットショップも」
「そうなのかな」
「育てるのもね」
 こちらのこともというのです。
「出来るね」
「免許とかないし」
「別にヤクザ屋さんがやっても問題なしね」
「だからなんだ」
「そうしたこともあるんだ」
「そうなんだ、だからこちらにも光を当てないと」
 さもないと、というのです。
「やっぱりよくないね」
「ペット業界も色々あるんだね」
「命を扱う世界なのにそうした人達が関わる」
「そうしたこともあって」
「命が粗末にされる」
「そうしたこともあるんだ」
「そうなんだ」
 これがというのです。
「残念ながらね」
「だから何とかしないと駄目だね」
「ふわりみたいな娘を減らす為にも」
「ヤクザ屋さんのこともあるし」
「余計にだね」
「そう思うよ」 
 先生は悲しいお顔で言いました。
「ふわりの前の飼い主の人達はこんなこと考えなかっただろうけれどね」
「そんな連中じゃないですよ」
 国崎さんのご主人が答えました。
「子供の頃から」
「やっぱりそうですか」
「二人共身勝手で飽きっぽくて無責任で」
「それで、ですね」
「自分達以外はです」
 それこそというのです。
「自分達の都合で平気で切り捨てる」
「そんな人達ですか」
「ですから」
「ふわりもですね」
「平気で捨てたんですよ」
「そうですか」

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