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Fate/WizarDragonknight
転んでもいいよ また立ち上がればいい
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ていた紗夜は、やがて。

「……はい」



「氷川紗夜! 貴様あああああああああ!」

 トレギアの呪う声が聞こえてくる。

「何だ……?」

 瓦礫から何とか抜け出せたウィザードは、そんなトレギアの様子をじっと見守っていた。
 何かに突き動かされるように、トレギアの体が波打つ。やがて、その背中に光が走り始める。

「あれは……!?」
「ふざけるなあああああああああああ! たかが地球人ごときに、この私がああああ……!」
「もしかして……今なら!」
『キャモナスラッシュシェイクハンド キャモナスラッシュシェイクハンド』

 半信半疑のまま、ウィザードはウィザーソードガンを起動させる。ルビーの指輪を読み込ませ、炎を迸らせる。

『フレイム スラッシュストライク ヒーヒーヒーヒー』
「頼む……紗夜さん……! 戻ってくれ!」

 そうして、走り出す。
 ファウストもメフィストも、龍騎が取り押さえている。スイムスイムもいなければ、キャスターやほむらもやってくる様子もない。
 もう、ウィザードを邪魔する者は誰もいない。

「だあああああああああ!」

 全く抵抗しないトレギアの体に、スラッシュストライクが命中する。

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「戻ってきてくれ! 紗夜さん!」

 体内の紗夜を抑えることに必死だったトレギアは、その炎の斬撃を受け、安定させることが出来なくなった。
 炎の斬撃が軌跡を描く。
 振り抜いたトレギアの仮面が外れ、飛んで行く。仮面はすぐにその形を空気中に分解し、白と黒に分かれた服を着たピエロの姿となった。
 そして、トレギアの肉体だったもの。
 闇が抜けた体は、紗夜に。そして、ウィザードの魔法陣の残滓が出口となり、そこからココアが投げ出された。

「お、お前は……!」

 現れた、トレギアの人間態。ココアと紗夜を抱き留めながら、ウィザードはピエロを睨んだ。

「やってくれるね……人間ごときが……」
「まさか、お前が……! お前がトレギアだったのか!」

 これまで、何度か見滝原公園でその姿を現した青年。
 ハルトに、ココアに、紗夜に、日菜に接触した、あのピエロだった。

「霧……崎……!」

 それは、紗夜の言葉。
 ウィザードの肩にしがみつきながらも、彼女は弱々しくトレギアの人間態を睨んでいた。
 霧崎と呼ばれたピエロは、歪めた表情で紗夜を睨み返す。

「氷川紗夜……何のつもりだい? 今すぐ私のもとへ戻るんだ。妹に勝つだけの力を、私は君に与えることができる」
「……もう、あなたには騙されない……」

 力なく起き上がった紗夜は言い放った。

「あなたに唆されたら、私は……永遠に日菜に勝てなくなる……
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