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ドリトル先生と幸せになる犬
第六幕その五
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「まさかもう一度会えるなんて」
「思わなかったよ」
「そしてね」
「そんなことになっていたなんて」
「うん、今話した通りね」
 先生はふわりの両親にもうふわりの過去のことをお話しています、それでとても暗いお顔になっています。
「酷いことになっていたんだ」
「あの、僕達もね」
「チェリーが幸せになる為に産んで」
「お父さんとお母さんもそうなって欲しいって」
「このお家で大事に育ててくれたのよ」
「それでペットショップに送って」
「幸せになることを願って見送ったのに」
 二匹で先生に言います。
「それなのに」
「そんなことになっていたなんて」
「相手にされなくなって無視されて」
「そして保健所に捨てられてもういらないなんて」
「そうなっていたんだ」
 こう二匹に言うのでした。
「この娘は」
「そうなんだね」
「私達の子供が」
「他の子はどうなっているか」
「とても心配だわ」
 先生のお話を聞いてです。
 優しい顔立ちの初老の人が先生に言ってきました、隣に同じ位の年齢の女の人もいます。この人達がふわりの両親の飼い主の人達のご夫婦です。ブリーダーをしながらお店をやっています。
「あの、私達もです」
「ペットショップにですね」
「いいお店ですから」
 それでというのです。
「オークションを経て収入にもしていますが」
「この娘達が幸せになる様にですね」
「送り出しています」
「どの娘も大切な子なんです」
 奥さんも言ってきました。
「ですから」
「ブリーダーをされていて」
「そうしてです、今もです」
「四匹の子がいますね」
「この子達もです」
 四匹の生まれたばかりのトイプードルおそらくタイニーかティーカップになるであろうその子達を見つつお話します。
「是非です」
「幸せになってもらう為にですね」
「ディックとミニーっていうんですが」
 ご主人がふわりの両親を見ながら彼等の名前を言いました。
「この子達を飼いながら」
「子供を産んでもらってですね」
「その子達を里親に出しています」
 ペットショップを通じてです。
「いいお店ですからきっとです」
「いい人達に貰われていくとですね」
「思っていたんですが」
「それが、ですか」
 奥さんは項垂れて言いました。
「そんなことになっていたなんて」
「そんなこともあったんです」
「この娘は誰からもずっと愛される様にと願って」
 それでというのです。
「チェリーと名付けました」
「チェリーは皆から愛される果物ですからね」
「そうです」
「名付けましたね」
「はい、血統書での名前は」
「そうでしたか」
「それでいい人に愛されていると思っていたら」
 それがというのです。
「そんなことになっていたなんて」
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