覚えのない怒り
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しばらくの間、船に揺られながら過ごしていると、少しずつ船の速度が落ちてきていることに気が付いた。実はほとんどの時間寝ていたため、ほとんど記憶にないのは内緒である。
「この貨物なら中入れそうだな」
「そうだね。ウェンディたちを先に入れちゃって・・・」
中にわずかながらにスペースがあった貨物の中にうまいこと入り込む。俺たちは小さいから割と楽に入れたけど、レオンとシェリアは少しずつ大人に近付いているようで、少し窮屈そう・・・
「なんかすごい複雑・・・」
この場合は喜びたいところではあるけど、どうにもそうはいかない。やっぱりこいつに身長を置いていかれているのが非常にムカついてしまう。
「この荷物はどの辺に出るのかな?」
「さぁ?」
「うまいこと街に出れるといいね〜」
ここから俺たちがどこに運ばれていくかは完全な運任せ。ラウルたちも不安そうではあるが、俺とウェンディは揺れているこの中ではまともに動けないためじっとしているしかない。
「まぁ、見つかったら相手を倒せばいいだけだよ」
「うんうん。みんながいるから大丈夫だもんね」
この状況をむしろ楽しんでいるのではないかというほどのレオンとシェリア。ただ、そう言っている二人の距離がなんだか近い気がする・・・いや、この場所が狭いからそうなっているだけとも取れるけど・・・
(やっぱり違和感があるよな・・・)
一度気になり出すとモヤモヤが止まらなくなってしまう。後で落ち着いたら聞いてみよ・・・そうしようと思いながら、俺は早く陸地に着くことを祈っていた。
「へぇ・・・こんなところに倉庫があるんだ」
揺れが収まったところで恐る恐る貨物の中から外へと出る俺たち。その場は中心街と思われる街から外れたところにある、大きな倉庫がたくさん乱立しているような場所だった。
「でも倉庫の割に監視役が少なくない?」
「言われてみると確かに・・・」
シェリアと揺れが収まったことで回復したウェンディがそう言う。倉庫の中もだったけど、外に出るとよりそれが際立つ。たくさんの倉庫がある割には、監視している人数が明らかに足りていない。どうやっても死角が生まれるような人数しか配置されていないように見える。
「薄々気付いてたけど、あの貨物船って密輸船なんじゃない?」
「だろうね」
俺の思っていたことにレオンも同意する。闇ギルドが国王に着いている国に評議院が管理しているフィオーレが荷物を輸送するわけがない。大方、こちらの闇ギルドも金欲しさにこの国に荷物を輸送しているのだろう。
「この国だと今は闇ギルドが最大勢力だもんね」
「一般市民が荷物を奪えるわけがないってことか」
だから監視の人数は最小
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