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Fate/WizarDragonknight
切り札
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チョーイイネ サンダー サイコー』

 風のウィザードの最上位魔法。雷を纏った竜巻が、二体を捉え、巻き上げていく。例え逃げ出そうとしても、雷の手が逆に彼らを引きづり入れる。

『コネクト プリーズ』
『ハリケーン スラッシュストライク』

 続けざまにコネクトから引き出したソードガンへ、ウィザードは緑の風を宿らせる。

「はああああああ!」

 風の斬撃がファウストへ跳ぶ。
逃げ場のない、空中への一撃。だが。

「っ……!」

 メフィストの腕から発射された光弾が、スラッシュストライクを打ち落とし、そのままウィザードを襲う。
 魔力制御が途切れ、竜巻が消えてしまった。

「だったら……!」

 ウィザードは次の指輪へ手を伸ばす。
 だが、それよりも先に、ファウストが接近戦を挑んできた。

「!」

 ウィザードは指輪への手を諦め、ソードガンで彼の蹴りを防ぐ。
 さらに、メフィストまで攻撃の手を加えてくる。

「……ちゃん! チノちゃん!」

 その声に、ウィザードの意識は逸れた。
 メフィストの爪をまともに受け、地面を転がった。

「今の声……まさか……!」

 すぐさま頭に最悪の状況が浮かび上がる。
 見れば、そこにはココアとモカの姿が。
 客席に落ちた瓦礫。やはり、巻き込まれた人はいた。
 瓦礫に挟まり、上半身うつ伏せになったチノの姿が、そこにはあった。

「チノちゃん……! ぐあっ!」

 しかも、その間にメフィストの攻撃は続く。接近戦によるダメージで、ウィザードは見滝原ドームの客席に叩き落とされた。

「今度は何!?」

 悲鳴となった、モカの声。起き上がったウィザードは、こちらを恐怖の眼差しで見つめるモカを発見した。

「に、逃げ……」
「こ、ココアココア! チノちゃんは私が助けるから、ココアは先に逃げて!」

 モカはそう言って、瓦礫をどけようとする。だが、いくらパン屋として鍛えているとはいえ、人間一人や二人の力では、コンクリートを動かすことは適わなかった。

「お姉ちゃん! お姉ちゃんこそ! チノちゃんは私が……!」
「いいから逃げて! もう怪物が、すぐそこにいるのよ! このままじゃ、あなたまで襲われるわ!」

 モカがウィザードを指差しながら叫んだ。
 一瞬ウィザードは、体が固まるが、即座にエメラルドの面の下で口を吊り上げる。

「……そうだよね」

 それを理解したとき、あたかも周囲の時間が止まったように感じた。
 闇の使者たちも、ココアたちも。
 誰も彼もが、静止した絵画のようで。
 ただ、ウィザードの心の中だけが響いていた。

「……見滝原に来てから忘れてたけど、これが普通だもんね……こんな仮面の中だけど
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