第七十三話 標
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
で一切の迷いなく向かおうとしているその姿にどこか私は危ういものを感じた。
「感じるものがないわけじゃないさ。けれどそれで皆の歩みを止めるわけにはいかない」
しかしアベルは表情を崩さない。
声にも何も感傷めいたものを出さない。
「思いやってくれるのは嬉しいんだ。でも僕はもう子供じゃない。今までずっと戦ってきて、前に進んできた。父さんが遺した願いを無駄にしないためにも」
不安が口を衝きそうになった。
立ち止まれずに前に進むしかなくなったアベルに少しでも立ち止まってほしかった。
けれどそれは私が自分の不安を解消したいという自己満足でしかない。
「報告が終わったら、なるべく早くサラボナに行きましょう。一刻も早くゴールドオーブの手がかりを求めないと」
だから私はアベルと共に、突き進む道を選ぶ。
それが自分にできる唯一のことだからだ。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ