第四章
[8]前話
「本当にね」
「それはね」
「それでどうだったの?」
宏美は自分に言う要蔵に聞き返した。
「脱いだらいつも通りの私で」
「よかったよ、ただね」
「ただ?」
「服がよかったら」
それならというのだ。
「その分余計にいいよ」
「そうなの」
「こうしたことも。コスプレで楽しむ人の気持ちもわかるよ」
「そういえばこのホテルコスプレも出来るわよ」
宏美はこのことを言ってきた。
「ちゃんとね」
「いや、女の子そのものの服はね」
「いいの」
「宏美ちゃんに似合うのは」
それはというと。
「女の子なのに男の子みたいな」
「そうした服がいいの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「そうした服でないとね」
「駄目なの」
「僕としてはね」
こう言うのだった。
「そうなんだ、だからね」
「これからもタイツかズボンでっていうのね」
「駄目かな」
「そんなにいいかしら」
宏美はぽつりと本音を漏らした。
「私のタイツやズボン姿って」
「ボーイッシュでそれが余計に奇麗に見えるよ」
「そうなのね、けれど奇麗に見られて君もいいっていうのなら」
それならとだ、宏美は応えて言った。
「私もそれでいいわ、やっぱり女の子だから」
「うん、宏美ちゃん女の子だよ」
要蔵もこのことはその通りだと答えた。
「けれどそれでなんだ」
「ええ、女の子だから」
それ故にとだ、宏美はまた言った。
「そう言われて嬉しいからこれからも服はそれでいくわね」
「タイツかズボンで」
「それが似合っていて奇麗でいいなら」
それならとだ、宏美は笑顔で答えた。そうしてホテルを出る時タイツを穿いてまた要蔵に言った。
「今日は前よりもずっとタイツが好きになったわ」
「そうなったんだね」
「ええ、じゃあこれからもタイツかズボンでいくわ」
「それで制服の時はストッキングだね」
「それでいくわ」
笑顔で答えて半ズボンも穿いた、そのうえで要蔵と一緒にホテルを後にした。その時の宏美は服装は確かにボーイッシュであった、だが表情は完全に女の子のものだった。要蔵はそんな彼女を見て笑顔のままであった。
女の子は美少年 完
2021・2・12
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