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従姉は頼りになる
第三章
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「いい娘だな」
「ひょっとして梨衣ちゃんのことかな」
「そうだ」 
 その通りという返事だった。
「見たぞ」
「あの、姉さん確か」
「恋愛の経験はだな」
「なかったんじゃ」
「今もない」
 沙織の返事は明快なまでにはっきりしていた。
「全くな」
「それじゃあアドバイスは」
「いや、あの娘自身のことはな」
 それはというのだ。
「出来る」
「だからなんだ」
「そうだ、あの娘はいい娘だな」
 その梨衣はというのだ。
「明るくて裏表がない」
「そうだよ」
 光弘の知っている梨衣もその通りだった。
「そこがいいんだよ」
「隠しごともしない、賑やかで誠実で嘘も言わない」
「よく知ってるね、その通りだよ」
「あの娘なら大丈夫だ」 
 沙織は微笑んでこうも言った、今は光弘と共にテレビを使ってプレステの格闘ゲームをしているがそれで遊びながら話している。
「交際してもな」
「そうなんだ、けれどね」
 光弘は沙織のその言葉を聞いて彼女に返した。
「姉さん恋愛は」
「恋愛は経験がないと言ったな」
「そうだよね」
「だが人を見ることは出来るな」
 これは出来るというのだ。
「だからだ」
「そう言うんだ」
「そうだ、あの娘なら大丈夫だ」
 こう光弘に言った。
「私が見てもだし話を聞いてもな」
「それでもなんだ」
「何気に色々聞いてだ」
 そうしてというのだ。
「調べたが」
「梨衣ちゃんのことを」
「そうしたが」 
 それでもというのだ。
「いい娘だ」
「だから交際してもいいんだね」
「碌でもない人間もいる」
 世の中にはというのだ。
「そうした輩と付き合うとな」
「やっぱりよくないね」
「そうだ、だがあの娘はな」 
 梨衣、彼女はというのだ。
「いい娘だ」
「だからなんだ」
「そうだ、だからだ」
「交際してもだね」
「いい」
 こう言うのだった、そうして。
 梨衣は光弘が見ただけでなく沙織が言った通りにだった。
 賑やかで明るく裏表はなく嘘も言わない、誠実な娘で。
 光弘はかえって自分が彼女と釣り合う位の人間かとさえ思った、梨衣が悪いのは学校の成績位だったが赤点を取る位ではなかった。
 だからこのことも問題なく梨衣と付き合っていった、それで光弘は今日も自分の家に来ている沙織に言った。
「やっぱり姉さん頼りになるよ」
「彼女のこともか」
「梨衣さんのこともね」
 こう言うのだった、今日は二人で飲んでいる。光弘の両親も飲んでいたが今は二人共テレビを観ている。飲んでいるのは二人共焼酎のロックでピーナッツと柿の種を食べつつ話している。
「どういう人か言ってくれて」
「それでか」
「本当によかったよ」
「そうか」
「今回も助かったよ」
 こう言うのだ
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