第一章
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若夫婦の喧嘩
立花新平と友香の夫婦は共に二十歳二人共大学生の時に結婚してそれから七年経つ。だが七年経っても仲睦まじい若夫婦として知られている。
「学生結婚して共働きで」
「家事も分担して」
「本当に仲いいわね」
「そうだよな」
ご近所も二人のそれぞれの同僚達も友人達も認めることだった、新平は黒髪を短くしていて大きな黒い目を持っている。背は一七四程で痩せている。
友香はきりっとした顔立ちで切れ長の目が特に目立つ、黒髪を長く伸ばしセットしていて一六〇程の背で胸がかなり大きい。
二人は買いものもいつも仲がいい、だが。
友香の弟で新平とも仲のいい春樹は今二人の家に遊びに来ていたが二人は顔を背け合ってるのを見て言った。
「どうしたんだよ」
「何でもないわ」
友香は顔を新平からそっぽを向いたまま弟に答えた、見れば弟も切れ長の目であるが丸々としていて黒髪を七三分けにしている。黒の詰襟を着た一七〇程の背の高校生だ。高校では陶芸部に所属している。
「気にしないで」
「いや、気にするから」
弟はすぐに姉に返した。
「これは」
「本当に気にしなくていいから」
新平もそっぽを向いている、そのうえでの春樹に言った。
「春樹君はね」
「いつも物凄く仲いいのに」
春樹はそんな姉夫婦の間に入って言った。
「どうしたんだよ」
「だから何でもないから」
「気にしなくていいわ」
「そう言っても気になるから。本当にどうしたんだよ」
二人の間に入ったまま問うた。
「一体」
「だから別にね」
「何でもないから」
「気にしなくていいからね」
「あんたは勝手にしていていいから」
「勝手にって。今日こっちに来たのはさ」
姉夫婦の家に来た理由も話した。
「これから野球観戦の約束してたじゃない」
「ソフトバンク対楽天だな」
「それよね」
「僕達ソフトバンクファンだからな」
「今から楽しみよ」
「俺もだしさ」
春樹もソフトバンクファンでこう返した。
「そのつもりだったのに」
「じゃあ行こうか」
「今からね」
「うん、全くいつも春先は調子が悪いから」
春樹はソフトバンクの例年のことについてはぼやいた、このチームは何故か春先はいつもよく負けるのだ。
「やれやれだよ」
「阪神と逆だね」
「いつも最初は弱いのよね」
「それで交流戦辺りから徐々にだな」
「本領発揮するのよね」
「最初から圧倒的に強かったらいいのに。じゃあ試合終わったらラーメン食べて」
博多のそれをというのだ、言うまでもなく細い麺で豚骨スープである。
「それで帰ろうか」
「いいね、じゃあね」
「行きましょう」
二人は互いにそっぽを向いたまま応えた、そしてそっぽを向き合ったままだった。
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