第一章
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士官教育
自衛隊に入隊するまで居蔵信長は教師というものは士官自衛隊で言う幹部というとただの管理職だと思っていた。
「普通の役所とか会社で言う社長とかですよね」
「いや、また違う」
高校で居蔵にそう言われた担任の福田恒有はこう答えた、黒髪を左から右に流して眼鏡をかけて長方形の顔をしている、背は一六八位でやや痩せている中年の男だ。担当している教科は数学である。
「言うなら私達だ」
「私達って何ですか」
「教師だ」
福田は居蔵に答えた。
「確かに管理職だけれどな」
「それでもですか」
「言うならな」
「学校の先生ですか」
「そうだな」
「学校の先生って」
居蔵はどうかという顔になって首を傾げさせた、眉は太くそしてはっきりした目だ。やや面長で黒髪を丸坊主に近いスポーツ刈りにしている。背は一八〇近く部活のボクシングで鍛えた引き締まった体型である。
「そうなんですか」
「そうだ、君はその自衛隊に入隊するな」
「はい、一般曹候補生で」
「あの制度は三年近くで下士官になったな」
「はい、紹介でそう書いていました」
居蔵はすぐに答えた、見れば黒の詰襟姿がよく似合っている。
「そう」
「そして下士官になって四年だったな」
「ああ、士官その幹部ですね」
「その試験も受けられるな」
「そうだって地連の人に言われました」
自衛隊地方連絡部だ、自衛官の募集等を行っている。
「幹部になれると」
「最短で二十五歳だな」
「二十五歳で高卒で管理職ですか」
「そして先生だ」
「本当に先生ですか」
居蔵は信じられないという顔で福田に言葉を返した、職員室で福田の席で立って座っている彼と話しているがそうした顔になっていた。
「そうなんですね」
「それは入隊してだ」
そうしてというのだ。
「わかる、それも幹部になったらな」
「余計にですか」
「わかる、軍の士官がどんなものかな」
「それじゃあ入隊してから」
「よく見るといい、ただ」
「ただ?」
「防衛大学に行けばよりわかるな」
こちらに進めばというのだ。
「あちらへの進学は難しいが」
「防大ですか」
「そうだ、何から入隊しながら勉強して受験してみるか」
福田は居蔵にこうも言った、その表情は真剣なものだった。
「そうしてみるか」
「考えてみます、まずは入隊します」
居蔵はこう答えてだった。
高校を卒業するとすぐに入隊した、そして教育隊からはじまったが彼は幸い自衛隊という組織によく合っていた。
訓練にも規律正しい生活にも雑用にも慣れた、部活の経験も大きく彼は教育隊の中では優秀だった。そして。
教育隊の時から防衛大学への受験勉強も行いそしてだった。
受験してみると合格し無事防衛大学にも進学
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