第三章
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友人達も唸ったが大学の教授は驚いて言った。
「君が描いたのならだ」
「僕がですか」
「私は君をみくびっていた」
こう言うのだった。
「実に」
「僕をですか」
「そうだ、これはだ」
この絵達に見せるミニョンのセンスはというのだ。
「素晴らしい、君は君の思ったままを描いたのか」
「はい」
ミニョンは素直に答えた。
「頭の中に浮かんだものを」
「そうか、これまで色々な絵を観てきたか」
「それに漫画やアニメも」
「それで得たものにしてもだ」
それでもというのだ。
「空想、それをここまで独創的に想像出来るとはな」
「そのことがですか」
「素晴らしい」
こう言うのだった。
「タッチも色使いもだね」
「僕の中に浮かんだものを」
「そのまま描いたか」
「そうしました」
「芸術は思い浮かんだものだ」
その芸術家のというのだ。
「そういうものだ」
「だからですか」
「いい」
これでというのだ。
「君はこのまま描いていくといい」
「感性とセンスに従って」
「そうしていけばいい」
「じゃあ描いていきます」
「課題は出す」
大学のそれはというのだ。
「それはちゃんとしてもらうが」
「それでもですか」
「自由な時は自由に描いていい、むしろ誰が止める」
マルティがどういった絵でも描くことはというのだ。
「一体」
「それは」
「政府でも教会でもない、というか教会はもうそんなことは言わない」
中世の様なことはというのだ、その頃の教会は宗教だけでなく学問でも芸術でもひいては政治でも絶大な影響力を持ちそのうえで常に干渉してきたがだ。
「そして変な団体は気にしなくていい」
「変な、ですか」
「この大学の誰も言わないし君の周りで誰か言うか」
「いえ」
それはとだ、マルティは否定して答えた。
「全く」
「そうだな、だったらな」
「それならですか」
「描いていい、変な団体はそれこそ何を言うかわからないが」
こうした団体は何処にでもある、そしてあれをするなこれをするなと言う。だがそうした団体についてはというのだ。
「しかしだ」
「そうした人達は気にしなくていいですか」
「おかしな意見は聞くだけ無駄だ、女性の裸を描くなと言うとだ」
それこそというのだ。
「ビーナスの誕生はどうなる、男が駄目なら石像だがダビデ像はどうなる」
「芸術の否定ですね」
「だから気にしないでいい」
「僕の絵も」
「芸術は誰にも止める権利はない、表現の自由だ」
これがあるからだというのだ。
「君も同じだ」
「このまま描いていっていいですね」
「そうだ、私もそう言う」
教授もこう言った、そしてだった。
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