第一章
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空想オリジナル
この時パリの美術大学に通っている大学生フランソワ=ミニョンは困っていた。それで友人達に話した。
「風景を描くのはいいけれど」
「どうしたんだい?」
「それはいいとは」
「何かあったのかい?」
「いや、それで満足していいか」
こう言うのだった。
「正直悩んでるんだ、何かこう頭の中で風景が思い浮かんできているんだ」
「ああ、それを描きたい」
「今の君はそうか」
「そうなんだな」
「ああ、そうなんだ」
茶色の髪の毛をロングにしている、面長で目は青い。背は一七七センチ程で痩せていてすらりとしたスタイルだ。汚れてもいい服を着ていて細面の白い顔の顎の下に絵の具の赤い色がある。
「最近」
「ううん、じゃあね」
「一回その風景をスケッチしてみたらどうだい?」
「頭に浮かんだそれを」
「そうしたらどうだい?」
「芸術の可能性は無限じゃないか」
友人の一人がこの言葉を出した。
「だったらだよ」
「何でも描いていいのかい?」
「何を描かなくては駄目と決まってるかい?」
その友人はミニョンに問い返した。
「君はそう強制されているのかい?」
「いや」
ミニョンは即座に否定した。
「それはないよ」
「フランスはそんな国ではないね」
「そうだ、我が国は芸術の国でだ」
「自由と平等、博愛の国でもある」
「国旗にある通りに」
「だからだよ」
友人はミニョンにさらに言った。
「君もだ」
「何を描いてもいいんだね」
「君の感性、芸術センスが赴くままに」
まさにそのままにというのだ。
「描けばいい」
「そうなんだな」
「風景画もいいが」
それだけでなくというのだ。
「君の感性とセンスに従うんだ」
「そうだな、それがいいな」
「それが芸術だろ」
「感性とセンスが大事だ」
「それが第一じゃないか」
他の友人達もそれはと頷いた。
「それならもう答えは出たな」
「ここは自分の頭の中に浮かんだものを描くべきだ」
「それがどういったものかわからないが」
「君自身が描くことだ」
「他の誰も描くものじゃない」
「むしろ誰が描くんだ」
ミニョン以外の誰がというのだ。
「一体」
「もう僕達の言うことはない」
「君は君の感性とセンスに従うんだ」
「そうして描くんだ」
「僕達が言えるのはこれだけだ」
「君が描くんだ」
「わかったよ」
ミニョンは友人達の言葉に頷いた、そのうえで彼等に話した。
「描こう、僕の頭の中に浮かんだ風景を」
「そうするんだ」
「それが風景でなくてもだ」
「世界でも人物でもだ」
「君の中に浮かんだものを描くんだ」
「そうすればいい」
「そうしよう」
ミニョンは決意した、そしてすぐに大学の中
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