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渦巻く滄海 紅き空 【下】
五十一 不死コンビVS宿敵コンビ
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だ」
「…いえ」

カカシの言葉に、シカマルは否定を返す。
曇天の下、それでも諦めない彼の瞳に見覚えがある気がして、カカシは瞠目した。

いつでも真っすぐで諦めない根性の持ち主──波風ナルを思い出す。



「大丈夫です…やれます」
「しかし、」
「…本人がやるって言ってんだから、やらせてやれよ、カカシ。何か考えがあんだろ」

見兼ねた再不斬が口添えする。そうして、シカマルに後ろ手で何かを差し出した。


「小僧。不死身ヤローはお前に任せる」
「ああ…──任された」


硬化する故に、角都に首切り包丁は通じない。
それを知っていながら再不斬は角都に斬りかかった。

それはひとえに手っ取り早く角都の血を抜く為だ。

角都の【土遁・土矛】は硬化させた部分は動かせないという弱点がある。
よって、斬りかかった肩のみを硬化するのは計算済みだ。それ以外の皮膚を硬化しておく必要もない。

要するにあの時、首切り包丁を片手で押し切ろうとしつつ、もう片手で血液用カプセルを角都の脇腹に注入したのだ。
つまりは首切り包丁自体が囮だったのである。

更に言えば、再不斬が首切り包丁で肩以外の場所を狙う可能性を考慮しなければならぬ角都は目の前の敵に集中する。
そんな時に、血液用カプセルという些細な注射の痛みに気づくはずもない。

以上から、すぐに抜き取れた角都の血が入った血液用カプセルを、シカマルに後ろ手で渡した再不斬は、内心、ナルトの計画通りに事が運んでいる事実に含み笑った。











曇天の下。
緊迫感が充満する空間で、不死コンビたる角都と飛段、宿敵コンビことカカシと再不斬が睨み合う。

双方の間で地面に突き刺さったままの首切り包丁が両者の間を裂くように、鈍い光を放っていた。


再不斬が避雷針代わりにした首切り包丁。
敵から距離を取った為、回収できずにいた巨大な刀を、飛段がまじまじと見遣る。

持ち上げようとした飛段は、「おもっ」とあまりの重さに眼を見開いた。


「汚い手で俺の首切り包丁に触れるんじゃねぇ…!【水遁・大瀑布の術】!!」


勝手に己の得物に触れられ、憤った再不斬が印を結ぶ。
直後、膨大な水が波となって、飛段と角都に押し寄せた。
大津波を回避するも、辺り一面が湖と化す。


その隙に一気に首切り包丁の許へ向かった再不斬だが、それを見越していたかのように、地中から角都の腕が再不斬の足首をつかみ取った。


「な…っ」
「得物をそう易々と手放すものじゃない。的になるからな」

必ず首切り包丁を回収しにくるだろうと察していた角都が、再不斬が水遁を使う前に秘かに、切り離した己の腕を地中に潜ませておいたのだ。
足首を
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