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ほおずきに入れられて
第一章

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                ほおずきに入れられて
 二階堂葉月は黒髪をポニーテールにしているあどけない少女である、まだ幼稚園児で家では祖母の長月白くなった髪の毛を後ろで団子にして穏やかな顔でいつも着物を着ている彼女に懐いてよく一緒にいる。
 祖母の周りにはいつも家の飼い猫である白猫のたまと上が黒下が白の八割れの猫のはちがいる、二匹共雌で姉妹である。
 その猫達と一緒に庭の縁側でお茶を飲みつつだ、祖母は孫娘に話した。
「葉月ちゃん、あそこに袋みたいな実があるね」
「お庭の端の橙色のあれね」
 葉月は祖母が指差したその先のものを見て応えた。
「可愛い形よね」
「あれはほおずきっていうんだよ」
「ほおずき?」
「袋見たいだから入れるものがあるんだよ」
「何を入れるの?」
「魂を入れるんだよ」
 それをというのだ。
「それを入れて葬ってあげるんだよ」
「魂をなの」
「魂は知ってるね」
「お父さんに教えてもらったの、人の心だよね」
 葉月は自分の解釈から答えた。
「そうだよね」
「そうだよ、死んだ人のそれを入れてね」 
 その魂をというのだ。
「葬るものなんだよ」
「そうなんだ」
「それがほおずきなんだよ」
 こう孫娘に話した、そしてだった。
 祖母は孫娘に色々なことを教えていった、生活の知恵にこうしたことをだ。葉月はいつも祖母と一緒にいて多くのものを教わった。
 その中でだ、ふとだった。
 葉月は家の庭でたまとはちと遊んでいる時にだった。
 目の前に見たことのない猫がいることに気付いた、その猫は。
 白い毛で右耳とその周りそれに尻尾と腰の辺りが黒かった。葉月はその猫を見てこの猫誰かしらと思ったが。
「ニャア!」
「ニャンニャン!」
 たまとはちがだった。
 その猫に飛びついた、そしてその猫に甘えてじゃれていた。そしてその葉月がはじめて見る猫もだった。
「ニャア」
「ニャオン」
「ミャウン」
 二匹をあやした、身体は透けているがそれでもだった。
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