第三章
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「別に」
「そうですか」
「はい、それでですね」
「同じ大学ですしこれからまたお会いしたら」
「その時はですね」
「宜しくお願いします」
「こちらこそ」
笑顔で話した、そしてだった。
昭は葵と時々会ってその度に親しく話をする様になった。外に出ると散歩に出た葵というかポメ乃介が駆け寄る程だった。
それで昭は葵との距離を縮めていったがどうしてもだった。
「ポメラニアンは鳴くだけだからな」
「別に怖くないだろ」
「いや、犬だからな」
こう友人に言うのだった。
「どうしてもな」
「それだけで怖いんだな」
「俺はな」
こう言うのだった。
「勝海舟さんの話を思い出してな」
「今時そんな犬いないだろ、というかお前だとな」
「自然と好かれるからか」
「大丈夫だろ」
「それでもだよ」
「その話思い出してか」
「怖いんだよ」
どうしてもとだ、彼は友人に自宅の自分の部屋でストロングのレモンを飲みつつ話した。二人で宅飲みを楽しんでいるのだ。
「どうしてもな」
「トラウマか」
「そうだよ、だからな」
「それは難儀だな」
「自分でも思うけれどな」
カップ焼きそばを食べつつ言う、兎角彼は犬が苦手だった。
だがそんな中で。
昭はまた街を歩いている時に自分を見付けて駆けてきたポメ乃介と彼に必死についてきた葵と会って話をした、だがそこで。
首輪をしているがリードのついていない真っ白な秋田犬が来た、葵は秋田犬を見てすぐに顔を青くさせた。
「大きいですね」
「秋田犬は大きいだけじゃなくて結構気が荒いんで」
昭はこのことを知っていて言った。
「ですから」
「気をつけないといけないですね」
「家から脱走したのか?」
昭は犬にリードがないことに注目した。
「まずいな、これは」
「ウ〜〜・・・・・・」
二人が警戒しているとだった。
ポメ乃介は二人の前に出て秋田犬に対して唸った、葵はその彼を見てすぐに悟った。
「私達を守るの?」
「無理だ、体格が違い過ぎる」
ポメラニアンと秋田犬ではとだ、昭は言った。
「まして秋田犬は狩りもするから気性も荒いのに」
「ポメラニアンではですね」
「勝てる筈がないです」
「けれど私達でも」
「いや、俺なら」
ここでだった、昭は。
自分が犬に好かれる特質を出そうと思ってだった。
すっと前に出て秋田犬に対して手を差し伸べるとだった、秋田犬は。
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