暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第95話:迫るリミットと出撃の時
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どうなるかなど、考えるまでも無いことである。
ウェル博士程の者がそれに気付かない筈も無く――――――
「行き掛けの駄賃に、月を引き寄せちゃいましたよ」
あっけらかんというウェル博士だったが、その言葉を聞かされたマリアとソーサラーは堪ったものではない。
「月を!? 落下を速めたのか!?」
「!!」
ソーサラーは思わずウェル博士の肩を掴み自分の方を向かせ、結果的に退いたウェル博士に代わりマリアがコンソールに触れた。
「救済の準備はまだ何も出来ていない。これでは本当に、人類は絶滅してしまう!?」
話は人類どころの話ではない。太古の昔、地球で反映した恐竜を絶滅に追いやったと言われる隕石ですら、その大きさは10〜15q程と言われているのだ。
月ほどの天体が衝突しようものなら、それこそ地球そのものが崩壊してしまいかねない。仮に地球が辛うじて原形を留めていたとしても、全ての大陸はひっくり返り、地球は生物の存在しない原初の姿へと戻ってしまう。
人類どころか全地球生命の危機である。
マリアは何とかして月の落下を阻止しようとするが、しかしコンソールはマリアの操作を受け付ける事無く光を失った。
「どうして……どうして私の操作を受け付けないの!?」
「ウェへへへ……LiNKERが作用している限り、制御権は僕にあるのです。人類は絶滅なんてしませんよ。僕が生きている限りはね」
「それが僕の提唱する、一番確実な人類救済方法です」
狂気に染まった目で告げるウェル博士だったが、マリアとソーサラーは黙っていなかった。ソーサラーはハルバードの切っ先を向け、マリアが食って掛かる。
「そんな事の為に、私は悪を貫いてきた訳じゃない!!」
ウェル博士に掴み掛ろうとするマリアだったが、それよりも先にウェル博士の左手が彼女を引っ叩き床に倒す。
倒れたマリアに、ソーサラーはハルバードを下ろし彼女を気遣う様に駆け寄った。
「ここで僕を手に掛けても、地球の余命があと僅かなのは変わらない事実だろ? 駄目な女だなぁ」
マリアを嘲笑うウェル博士に、ソーサラーは拳を握り締める。
と、徐に彼の目が部屋の隅に居るメデューサに向かう。グレムリンはいつの間にか姿が見えなくなっていたが、メデューサはこの部屋に入った時からずっとああして部屋の片隅に佇んでいた。
ソーサラーはマリアから離れると、ウェル博士の横を素通りしてメデューサに掴み掛った。
「…………これでは約束が違う――――!」
「何の事だ?」
「何故、黙っている――!」
声を出来るだけ抑えてメデューサに詰め寄るソーサラーの声は、打ちひしがれるマリアには届かない。
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