暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第95話:迫るリミットと出撃の時
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っていた。無数の砲弾が次々とフロンティア外延部に着弾する。
 しかし悲しいかな、放たれた砲撃はフロンティアに対してあまりにも無力だった。巨大な島ほどもあるフロンティアに対し、米軍艦の砲弾は口径も威力も小さすぎる。

 その米軍艦隊の奮闘を、フロンティアのブリッジにてウェル博士が見ていた。

「楽しすぎて眼鏡がずり落ちてしまいそうだ」

 宣いながら、ウェル博士はフロンティアを操作した。操作を受けて、フロンティア下部にあるオブジェクトが発光。すると突如として海上の米軍艦隊が次々と宙へと浮き上がり始める。
 それだけに留まらず、艦は外部から不可視の圧力を掛けられ握り潰されるジュースの缶の様に凹んで潰れ、爆発して全滅していった、

 艦隊が全滅する様子を、ウェル博士は満足そうに眺めていた。

「ふ〜ん、制御できる重力はこれ位が限度の様ですねぇ」

 口調は物足りなさそうだが、次の瞬間には口を開けて嗤い始めた。

 笑うウェル博士と壊滅した米軍艦隊に、マリアの表情が険しくなる。

――果たしてこれが、人類を救済する力なのか?――

 とても救済を齎す為のものとは思えない力に、マリアは疑問を抱かずにはいられない。

 彼女の懸念に気付かず……或いは気にする事なく、ウェル博士は悦に浸っていた。

「遂に手に入れたぞ、蹂躙する力! これで僕も、”英雄”になれるぅ! この星のラストアクションヒーローだぁぁぁ!! ウェヘヘヘヘ!! やったぁぁぁぁぁ!!」

 仰け反り天を仰ぎながら歓喜の声を上げるウェル博士。

 その姿はお世辞にも、英雄と呼ばれる者の姿ではなかった。









 混乱から立ち直った二課の潜水艦では、大急ぎで状況確認が行われていた。

 まず内部の職員だが、あれほどの状況であったにも拘わらず負傷者は極僅かであった。これは不幸中の幸いだろう。
 中には壁や機材などにぶつかって負傷した者も居たようだが、負傷者への治療は迅速に行われていた。

「下から良いのを貰ったみたいだな……」

 実際には良いのを貰ったなんてものではなく、潜水艦は完全に陸に乗り上げていた。これでは進む事も戻る事も出来ない。

「計測結果が出ました!」
「直下からの地殻上昇は、奴らが月にアンカーを打ち込むことで――――」
「フロンティアを引き上げた!?」

 遥か彼方の宇宙の天体を使って引き上げると言う所業にも驚くべきところだが、問題はそこではなかった。

 ウェル博士はよりにもよって、月を使ってフロンティアを引き上げたのだ。
 月は決して固定された存在ではない。ただでさえ今、月は地球への落下軌道を緩やかにとっていたのだ。

 それをフロンティアほどのものを引き上げる事に使えば
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