第一章
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預けられる引導
ふわりの前の飼い主だった百田家の夫婦は夫の会社の者達の訪問でふわりの喋るぬいぐるみを見せられてから会社の者達との付き合いがなくなった。
それで夫の同僚の一人が夫婦の親戚の国崎洋介に彼が勤めているラーメン屋で話した。
「もう話すことも挨拶もな」
「お互いしなくなったんですね」
「仕事はしてるけれどな」
それでもというのだ。
「もう完全にな」
「縁が切れましたね」
「こっちがどう思ってるか伝えたからな」
同僚はカウンターの席からその中にいてラーメンを作っている洋介に話した、丁度彼が注文したチャーシュー麺を作っている。
「だからな」
「それで、ですね」
「あっちもわかってな」
「というかこれまでわかってなかったんですね」
洋介は麺を茹でつつ言った。
「そうだったんですね」
「無神経で鈍感だからな、あいつ」
同僚は馬鹿にしきった顔で答えた。
「奥さんの方もな」
「自分だけですからね、二人共」
「だからな」
「そうするまで気付かなかったんですね」
「自分達がどう思われてるかな」
「そうなんですね」
「それで最近ご近所からもだろ」
同僚はさらに言った。
「嫌われてるだろ」
「ええ、人は見てますからね」
それでとだ、洋介も答えた。
「ですから」
「ふわりちゃんを捨てたことがな」
「もうご近所全員に知れ渡っていて」
そうなっていてというのだ。
「それで、です」
「嫌われてるな」
「そうなっています」
実際にというのだ。
「保健所で捨てられて必死に二人を呼ぶふわりの動画もありますしね」
「まさか捨てられると思ってなかったんだな」
「そんなことは」
とてもとだ、洋介は麺の湯を切りながら話した。
「流石に」
「親と思っていたからな」
「それで捨てられるなんて」
「思わないな」
「それで保健所の檻の中で必死に二人を呼んでいたんですよ」
「そうだったな」
「それでふわりを捨てた時の清々したって感じの二人も」
その時の動画もとだ、洋介は話した。
「喫茶店で言ってたんですが」
「ああ、あの動画な」
同僚も知っていると返した。
「俺も観たよ」
「あの動画もご近所の人達観ていて」
「ご近所からも嫌われてるな」
「この前まで可愛がっていた犬をそうですからね」
「正直人間にも何するかな」
「わかったものじゃないですからね」
「そんなことする奴は自分の都合でな」
まさにそれだけでというのだ。
「誰だって切り捨てるからな」
「ふわりみたいにですね」
「そうするからな」
「皆わかってますからね」
「俺達もご近所もな」
つまり誰もがというのだ。
「そうするからな」
「だからですね」
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