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猛獣達への愛情
第二章

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「完全にヴェンザをお母さんと思っているから」
「ヴェンザも娘と思っているし」
「だったらね」
「犬そっくりになるのも当然だね」
「そうだね」
 笑顔で話した、そしてだった。
 二人はヴェンザと共にルナと暮らしていった、その暮らしは笑顔に満ちたものでルナも犬の様にいつも尻尾を振っていた。
 その話をベンザで聞いたアレクサンドル=ドミトリエフは妻のマサヤに話した。
「豹もそうなるんだな」
「そうね、うち子はピューマだけれどね」
「メッシはな」
 その彼を見つつ話した。
「病気がちでピューマとしては小さくても」
「ピューマはピューマだしね」
「猛獣になるけれど」
 同じネコ科のだ。
「知識があって愛情を以て接していたら」
「家族になれるわね」
「うん、ただ」
 ここでだ、夫は。
 ピューマのところに来た二匹の雌のチーターを見た、見れば。 
 黒の首輪をしているチーターのその首輪にはイチェルと白い文字で書いてありもう一匹の赤い首輪の彼女のそこにはゲルバとある。見れば。
 彼女達はメッシと一緒に遊んでいた、まるで猫同士がそうする様に。
「ガウ」
「ガウガウ」
「ガウッ」
 その彼等を見て夫は妻に話した。
「イチェルはサーカスにいてな」
「他のチーター達にいじめられて保護されて」
「うちで引き取ってな」
「ゲルバはアフリカで保護されて」
「うちに来たがな」
「どの子もね」
「育て方がわかっていてな」
 そうしてというのだ。
「愛情を以て接しているとな」
「心を開いてくれるわね」
「そうしてくれるな、それにチーターは」
 この生きものはというと。
「足は速いが」
「それでもね」
「大人しいからな」
「虎や豹よりずっとね」
「ライオンよりもな」
「ピューマよりもね」 
 ピューマもライオンや虎特に豹よりは大人しいのだ、それでも油断出来ないことは事実であるがだ。
「だから安心出来るけれど」
「それでも大きいからな」
 それだけにというのだ。
「注意しないとな」
「そうだけれど」
「ちゃんと知識があれば」
「こうして一緒にいられる、そしてな」
 夫はさらに言った。
「うちはこれからは二人と三匹で」
「仲良く暮らしていきましょう」
「三匹共それぞれ事情があってうちに来たが」
「これからはね」
「ずっと一緒だ」 
 そうだと笑顔で言ってだった。
 夫は妻と共に三匹の間に入って彼等と遊んだ、それはもう家族の姿そのものだった。


猛獣達への愛情   完


               2021・8・26
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