艦娘と提督とスイーツと・77
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〜那珂:激辛せんべい〜
『やっほ〜☆艦隊のアイドル、なっかちゃんだよぉ!』
『なかちゃんはねぇ、マカロンとかぁ、チョコレートとかぁ、甘くて可愛いお菓子がだ〜い好きなんだぁ☆』
『でもでもぉ、そんな可愛いお菓子を食べてるなかちゃんがいっちばん可愛いんだけどねっ!きゃはっ☆』
と、ウチの鎮守府のYouTubeのチャンネルで『アイドルらしく』振る舞う那珂が、画面の中で愛想を振り撒いていた。
「で、画面の中の『那珂ちゃん』について一言」
「イジらないで下さい、死にたくなります」
そんな自称『艦隊のアイドル』は今、俺の目の前で芋ジャー着て、分厚いメガネ掛けて、表面が真っ赤になるまで唐辛子のまぶされたせんべいを齧っている。
他の鎮守府の那珂は知らんが、ウチの鎮守府の那珂は大分スレているというか、アイドルらしくないというか、ぶりっ子していない。着任したての頃は今ではYouTubeの配信位でしか見せなくなったアイドルっぽいキャラで日常も通していたが、数年後には普通(?)になっていた。本人曰く、
『アイドル演じてるのも嫌いじゃないけど、ココだとみんなこっちの方が接しやすいのか打ち解けてくれるんだよね。何より、楽だし』
と、アイドルキャラがキャラ付けだったとあっさりと認めて、更にはあれはキツかったと益体もない事を言っていた。
「アイドルキャラも結構だが、その内バレるんじゃねぇか?これ」
「その時はその時だよぉ。それでもやっぱり、鎮守府の外では『那珂ちゃん』のままでいたいんだぁ」
そう言ってバリッ、と激辛せんべいを齧る那珂。やんわりとした口調だが、そこには姉2人に通じる……いや、下手するとそれ以上に頑強な『芯』のような物を感じる。
「なぁ、なんでそんなにアイドルに拘るんだ?ただのキャラ作りって訳でもねぇんだろ?」
「う〜ん、最初はね?那珂ちゃんの元になった那珂ちゃんの影響だと思うんだぁ」
ウチの鎮守府の艦娘のほとんどは所謂第二世代型の艦娘で、その成り立ちは純粋な人間を改造して艦娘となった第一世代型の艦娘の精神や思考をコピーして核となる物を作り、クローン技術等で産み出された素体にその核を植え付ける事で艦娘を誕生させる。これによって艦娘の量産化や均質化が図られ、海軍の戦力増強に繋がっている。……と、小難しい話で話題が逸れたが、那珂のコピーマスター−−マスターシップと呼称される個体の話は割と有名だ。なんと、地方でご当地アイドルをやってた娘に艦娘の適性が見つかり、そのまま艦娘となったらしい。しかも本人が艦娘への改造に乗り気で、
『艦娘として全国デビューとか、ドラマチックでステキ!』
と、言ってたらしい。端から艦娘やりながらアイドル活動する気満々だったとジジィ
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