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アライグマの恩返し
第一章

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                アライグマの恩返し
 カナダに住む動物学者のリッキー=ロビンソンは母のリンダと共に暮らしている。忙しいだけに充実した日々で黒髪を伸ばしているブラウンの目を持つ知的な顔立ちにもその充実しているものが出ている。
 その彼女がある日母と共に買いものに出た帰りに道の端にある生きものを見た。
「お母さん、これは」
「何かしら」
「キィ」
 見ればかなり小さい、一見すると鼠の様だが。
 動物学者の彼女はよく見てわかった。
「これはアライグマね」
「アライグマなの」
「ええ、間違いないわ」 
 グレーと白の毛の生きものを見て話した。
「この子は。ただかなり弱ってるわね」
「そうね、このままだとね」
 母もアライグマの赤子を見て言った。
「この子危ないわね」
「だからね」
 それでというのだ。
「保護した方がいいわね、ただ私アライグマの飼い方は」
「それならお母さんが知ってるわ」
 母は娘に笑顔で述べた。
「実は結婚する前に飼ってたのよ」
「そうだったの」
「だからね」
「お母さんが飼えるの」
「だからお家に帰ったら」
 アライグマを連れて帰ってというのだ。
「お母さんが飼うわ、あんたも忙しいでしょ」
「お仕事でね」
 動物学者のそれでとだ、娘は母に答えた。
「何かと」
「だったらね、お母さんが育てるわ」
「そうしてくれるの」
「後はシャロと仲良くしてくれるか」
 娘によく似た顔で黒髪をショートにしている。
「あの子とね」
「心配なのはそれだけね」
「それ以外は」
 家にいるチワワに似た黒と茶色の毛の雄の小型犬を思い出して話した、二人にとっては大事な家族である。
「ないわ」
「そうなの。それじゃあ私にもね」
「飼い方教えてくれるのね」
「そうするわ、それじゃあ」
「この子連れて帰りましょう」
 まずは動物病院に連れて行って診察を受けさせてだった。
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